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【北康利連載】若者よ、人生に投資せよ 本多静六伝

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第14回山本七平賞を受賞され、100年経営の会顧問や、日本将棋連盟アドバイザーなど、多方面でご活躍されている作家・北康利先生による新連載企画です。 日本林学の父、公園の父と呼ば… もっと読む
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2022年4月の記事一覧

【北康利連載】若者よ、人生に投資せよ 本多静六伝 #57

前回はこちら↓ 【学士会館】 第五章 人生即努力、努力即幸福 (3) 嫉妬の洗礼二五歳から始めた四分の一天引き貯金によって、一五年目の四〇歳になった時には大学の俸給より貯金の利子や株式配当の方が多くなり、その後、静六は立派な資産家になっていく。 大学教授がみな一財産築いていたかと言えばそうではない。年収が現在価値にして二、三〇〇〇万円あったわけだから裕福ではあったろうが、静六ほどの富豪にはそう簡単になれるものではない。 実は静六が資産家への道を歩み始めた頃、義父の晋はそれ

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【北康利連載】若者よ、人生に投資せよ 本多静六伝 #56

前回はこちら↓ 【秩父のセメント工場】 第五章 人生即努力、努力即幸福 (2) 秩父セメント静六と秩父には、山林だけでなくほかにも深い縁があった。それは渋沢を通じて諸井恒平という同郷の異才と友誼を結ぶことができたからである。 諸井は四歳年上。河原井村よりずっと北西で群馬県との県境になる児玉郡本庄宿(現在の埼玉県本庄市)の出身だ。家は士族であったが、度々火災に見舞われ、家運は傾いていた。幼少期から苦労し、独学を重ねることとなる。 その後、遠い親戚にあたる渋沢の招きで、彼が郷

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【北康利連載】若者よ、人生に投資せよ 本多静六伝 #55

前回はこちら↓ 【本多静六の協力者となる諸井恒平】 第五章 人生即努力、努力即幸福 (1) 埼玉学生誘掖会静六は若い頃から、島邨先生のように、自分も郷土の若者たちに手を差し伸べたいと考えていた。 親友の河合は静六同様苦学生であったが、元尾張藩士が中心になって設立した愛知社という育英会から毎月六円の奨学金をもらっていたことは先述した。年に五〇円の仕送りで頑張っていた静六は、年に七二円もらっている河合がうらやましくてならなかったのだ。 埼玉県にも愛知社のような団体を作りたい。

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【北康利連載】若者よ、人生に投資せよ 本多静六伝 #54

前回はこちら↓ 【全国から明治神宮へ集まる献木】 第四章 緑の力で国を支える (24) 〝神宮の社〟造営大山古墳を理想型にするという話が漏れた段階で、大隈首相から強く反対されたことはすでに述べた。 杉木立に囲まれた荘厳な神宮を建設するよう迫る大隈に、 「失敗したら閣下の責任ですよ!」 と脅し文句を投げつけて黙らせたのは、二人の間に長い間培われた信頼関係があればこそであった。 一方で、積極的に協力してくれる人も現われた。宮内省内で天皇陵を管理する諸陵頭だった山口鋭之助がそう

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【北康利連載】若者よ、人生に投資せよ 本多静六伝 #53

前回はこちら↓ 【造園研究科・林学博士・東大名誉教授 上原敬二】 第四章 緑の力で国を支える (23) 「明治神宮御境内林苑計画」策定仕事の早い彼は神社奉祀調査会の内命を受けた時点ですでに代々木御料地の図面を手に入れており、それを前にひたすら構想を練っていた。 不可能を可能にする作業なのだからもとより大事業になる。本郷はもちろん大車輪の活躍をしてくれるだろうが、人手が足りない。 そこで静六がもう一人目をつけた男がいた。それが上原敬二だった。 上原は東京深川で材木業の家に

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