【北康利連載】若者よ、人生に投資せよ 本多静六伝 #62
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【関東大震災】
第五章 人生即努力、努力即幸福 (8)
関東大震災と復興計画首都圏に長く住んでいると、人生で一度か二度、今で言う首都圏直下型地震に遭遇することが運命づけられている。静六にもその時が迫っていた。
当時の記録によれば、大正一二年(一九二三)は、六月頃から中規模の地震が頻発していた。それは来たるべき大地震の予兆だったのだ。
そして運命の九月一日がやってくる。
その日は朝から、重苦しい雨雲が東京の空を覆っていた。時計が午前一一時五八分を指し、人々が