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魂のぶつかり合い!緊迫の第3局で感じた人の心【第7期叡王戦観戦記③】

こんにちは。ひふみラボ編集部です。

5月24日(火)、レオスが特別協賛をつとめる第7期叡王戦五番勝負の第3局が千葉県柏市の三井ガーデンホテル柏の葉内にある「柏の葉カンファレンスセンター」にて行なわれました。

藤井聡太叡王が第2局、千日手指し直しを制して2連勝し初防衛に王手をかけた状況で迎えた第3局。藤井叡王のタイトル防衛なるか、出口若武六段が待望の1勝となるか、大きな注目を集める対局となりました。

結果は藤井叡王が3連勝でタイトル防衛を果たしました。挑戦者・出口六段が悔し涙を浮かべた姿がSNSで感動を呼んでいますが、叡王決定の瞬間までの裏側を経営企画&広報・IR室の仲岡がレポートします。

第1局観戦記はこちら↓

第2局観戦記はこちら↓

挑戦者の反撃か、初防衛か

第3局の会場となった千葉県柏市は本局の立会人を務める石田和雄九段を輩出した将棋の盛んな街で、叡王戦の開催が待ち望まれていたそうです。

対局前日の食事会会場はガラス張りだったのですが、棋士を一目見ようとたくさんの方が集まっており、会場内外ともに熱気に包まれました。

食事会での決意表明では、
藤井叡王は「新しい可能性を追求する姿勢を常にもって挑みたい。」

出口六段は「少しずつ肩の力が抜けてきた。これまでよりは普段通り指せるのではないかと思う。勝つしかない!」

と対局に向けた熱い想いを述べられました。

藤井叡王にとってはタイトル防衛のかかる一戦ではあるもののいつもと変わらぬ姿勢、出口六段からは流れを変えるんだという攻めの姿勢とともに第2局の対局前日よりも少しリラックスした印象を受けました。

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スマートでクール、そして熱い

名古屋での第2局、今回の第3局で多くの棋士の方とお話しさせていただく光栄な機会に恵まれたのですが、最も強く感じたのは棋士の皆さんの「お人柄」でした。

特に若手棋士の方とお話しする機会が多かったのですが、とても物腰柔らかく、穏やかにお話をしてくださる方ばかりです。
棋士は頭の中の盤面で駒を動かすイメージをされていて、なかには脳内将棋を複数局指せる方もいらっしゃるそうです。

目の前の盤面の動きを思い出すことすらままならない私には、頭の中がいったいどうなっているのかわかりません。そんな頭脳をお持ちの棋士の方々が将棋初心者の私にもわかるよう丁寧に解説してくださるのですが、わかりやすいだけではなく、お話の仕方が本当に面白いのです。

頭の回転の速さ、引き出しの多さ、相手の理解力をはかる洞察力、興味を引き立てられるストーリーの緩急のつけ方まで、どんどん引き込まれていく要素が満載です。そのお話の面白さのベースになっているのは、将棋に対する熱意と研究量であることは言うまでもありません。
「常に勉強」と言葉で言うことは簡単ですが、それを日々実行すること、時代の流れやAIとも向き合いながら真摯に将棋を追求される姿勢への尊敬の想いを、棋士と直接お話しすることでより強めました。

棋士を支えるチーム

将棋の世界では、プロ棋士になるために師匠につくのが慣例だそうです。

「藤井叡王の師匠である杉本昌隆八段は自分の癖がついてしまうからと藤井叡王に『将棋を教える』ということはされなかったんですよ。」と日本将棋連盟会長の佐藤康光九段から教えていただきました。
天才とも称される弟子のことをお年玉エピソードなどを交えて楽しそうにお話しされる姿に、師匠の温かい愛を感じました。

また、出口六段が叡王戦第2局・第3局でお召しになられたお着物は、師匠の井上慶太九段からタイトル戦出場のお祝いとして贈られたものだそうです。井上一門はタイトル戦に出る棋士に師匠がお着物を贈られるそうですが、出口六段で3人目であり、嬉しい悲鳴かもしれませんね。

第3局の当日は地元・石田一門の錚々たる棋士が顔を揃え、大変豪華に大盤解説会を盛り上げてくださいました。
ファンに将棋を楽しんでもらうためでもあるのですが、ご自身たちが心から将棋を楽しんでいらっしゃる様子を間近で感じられたこともとても新鮮でした。

石田九段も「若い人たちの最近の将棋はわからないんですよ。難しいよね。」と笑いながらお話ししてくださいました。歴史と伝統ある世界で、若手の活躍を心から喜び、敬い、そして支えていらっしゃる人間の深さをひしと感じました。

対局中は孤独な戦いですが、棋士を、将棋界を支えている人たちの温かさを感じ、これもAIと人間の違いの1つでもあるのかもしれないと思いました。

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逃げずにぶつかる出口六段の覚悟

第1局、第2局に続き第3局も戦型は相掛かりとなりました。
藤井叡王は先手相掛かりの勝率が高いことで知られています。そこに逃げず、真っ向からぶつかっていった出口六段。
藤井叡王を相手に攻め続け、前日に「勝つしかない!」と語られていた、その意気込みが将棋初心者の私にもストレートに伝わる戦い方でした。

控室でも、出口六段の指す手に、「そうきたか」というコメントが出るほど、素晴らしくかっこいい戦いっぷりでした。

熱戦の果てに迎えたその時、こみ上げてきたもの

両者持ち時間いっぱいまでの攻防が続き、控室でも解説の展開を読むのに苦戦する声が漏れます。
持ち時間を使い切り、第3局も1分将棋に突入します。

藤井叡王が対局後のコメントで「最後、負けの局面もあった。」と振り返られるほどの接戦、そして出口六段が優勢な局面もありました。

そこから、藤井叡王の猛烈な追い込みが始まります。少し焦りが見えたのかなと思えたその直後、控室にいらした棋士の方々に「藤井叡王が読み切った。指す手に余裕ができましたね。」と教えていただいてからの怒涛の攻め。

出口六段が一瞬天を仰いだ後、がっくりと肩を落とし、そして投了となりました。

石田九段にも「藤井叡王は恐ろしい。1分将棋でも逃さない。」と言わしめる藤井叡王の終盤の驚異的な強さをまざまざと感じる対局でした。

その後、興奮冷めやらぬ大盤解説の会場でお二人が対局を振り返られました。

出口六段は「最後、勝ちがあったような気がして、ここで終わってしまうのはとても悔しい。また頑張りたいと思います。」と、言葉が途切れてしまうほど気持ちが溢れ、悔し涙を流されました。その姿を見て、会場からは割れんばかりの拍手が起こります。
私も気づけば熱いものがこぼれていました。

藤井叡王と出口六段の魂が、心がぶつかり合った第7期叡王戦は藤井叡王のタイトル防衛という結果で幕を閉じましたが、またここから藤井叡王と出口六段の新たな挑戦が始まります。
すっかり将棋の虜になった私は、1ファンとしてお二人を、そして将棋をこれからも応援したいと思います。

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~番外編~本日のおやつ

叡王戦のもう1つのお楽しみ、「本日のおやつ」を番外編としてレポートします!

第3局10時のおやつは、藤井叡王が「カントリーマアムチョコまみれケーキ」、
出口六段が「エスプレッソコーヒーゼリー」を選択しました。

不二家様のご厚意で私たちもいただいたのですが、実食した甘党の当社メンバーが揃って「美味しい!甘い!」と歓声を上げておりました。
今回もお味だけでなく目にも美味しいおやつは、戦う棋士の癒しとなったことと思います。

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