【北康利連載】二宮尊徳~世界に誇るべき偉人の生涯~ #23
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第二三回 一家を廃して万家を興す背水の陣金次郎の思考は現代的だ。口約束では満足しない。再興事業の期間と数値目標などを記した契約書を作成し、小田原藩と宇津家との間で取り交わした。
最初に決めたのは、桜町領の分度(税収合計)だった。
「年間の年貢を一〇〇五俵、畑方金(畑で獲れる作物への税)一二七両と定め、これを越えた収量があった場合には、分度外として報徳金勘定に組み入れることを認めて頂きたい」
ちなみに一〇〇五俵とは過去一〇年間の年貢高の平均であった。こうして具