前回はこちら↓ 第37回 青木仕法の結末 その2悪いことは重なるものである。弘化3(1846)年には、川副家の江戸屋敷が火災で焼失。青木村には長屋門の再建資金として、135両の献納金が申し付けられた。これらを如何にすべきか相談しているところへ、領主の日光参詣金として、追加の献納金支払いを促す書状が届いた。 あまりに一方的な申し出だ。青木村の農民たちは再三にわたり善処を申し入れたが埒が明かず、遂に実力行使に出た。 弘化4(1847)年12月26日から29日までの4日間、村人た
前回はこちら↓ 第36回 青木仕法の結末天保8(1837)年も全国的に飢饉が続いていた。 全国で百姓一揆が多発し、大坂では歴史上有名な「大塩平八郎の乱」が起こって幕府の屋台骨が揺らぐ事態さえ発生していたにもかかわらず、桜町領と青木村はどこ吹く風であった。 しかし好事魔多し。この天保8年、青木村に疫病が発生する。 この時の援助費用は、青木村仕法余剰金より無利息7年払いで貸付けられた。日頃から推譲しておくことは、こうした不慮の出来事への備えとなったのである。 天保10(183
前回はこちら↓ 第35回 夏ナスの味で知った飢饉襲来江戸時代は時代を通じて気温が低く、数十年に一度は夏が低温になって飢饉が起こった。 その最大のものが、金次郎の生まれ年にかけて起こった天明の大飢饉であった。 天明2(1782)年から天明7(1787)年にかけて各地で飢饉が発生し、数十万人におよぶ餓死者をだした。こうした経験から、飢饉に備える知恵を当時の日本人は蓄えていた。 そして金次郎は、天明の大飢饉の約50年後に起こった、江戸時代最後の大飢饉である天保の大飢饉に遭遇するこ
前回はこちら↓ 第34回 極楽普請勘右衛門が急ぎ資料を整えて提出すると、それらに目を通した金次郎は約束通り青木村にやってきて回村を始めた。天保2年12月のことであった。 もう心の中では仕法を引き受けてやるつもりでいる。まずは彼らのやる気に火をつけねばならない。 金次郎はまず、視覚的に荒涼たる感じを抱かせ、野火を頻発させ、彼らに絶望感を植え付けている村中の茅を刈ってしまうことを考えた。 ただ命じるだけで人は動かない。 彼は何と、 「お前たちが刈ってきた茅は、30駄(だ)(一駄
このマンガは、意外と知らないあるモノの始まりや起源について紹介するシリーズです。 身近なものや今では当たり前に存在するものでも、歴史を遡ってみれば誰かが発見したり、発明したものだとわかります。そうした人々の創意工夫や、実現させるまでの困難な出来事を知ることは、もしかすると未来を創造するヒントにつながるかもしれません。 投資信託の会社で働くキャラクターと一緒に、いろんなモノの「はじまり」を探しに行きましょう! 登場人物 第8話 ニューヨーク証券取引所のはじまり 音声付きの
前回はこちら↓ 前回までのあらすじ 豊田正作の妨害工作で金次郎はやる気を失い、危機に瀕した桜町仕法であったが、余人をもって代えがたい存在であることを再認識した藩庁と領民の支持の下、金次郎は仕法に復帰。成田山参籠や小谷三志との出会いによって金次郎の思想はさらに成熟の度を増し、思想爆発と言われる過程を経て後世に残る報徳思想が完成を見るのである。 第33回 青木村仕法桜町仕法の第1期が修了した頃から、金次郎の再建家としての名声は近在に聞こえ始めた。 すると近隣諸藩諸村からも仕
このマンガは、意外と知らないあるモノの始まりや起源について紹介するシリーズです。 身近なものや今では当たり前に存在するものでも、歴史を遡ってみれば誰かが発見したり、発明したものだとわかります。そうした人々の創意工夫や、実現させるまでの困難な出来事を知ることは、もしかすると未来を創造するヒントにつながるかもしれません。 投資信託の会社で働くキャラクターと一緒に、いろんなモノの「はじまり」を探しに行きましょう! 登場人物 第7話 ニューヨークのはじまり 音声付きの動画はこち
前回はこちら↓ 第三二回 至誠・勤労・分度・推譲『三才報徳金毛録』の哲学的世界観を、仕法をする際、農民に一から説いても理解できる者は少ない。そこで彼は報徳思想を報徳仕法に反映する上でのキーワードを強調して説明するようになった。 特に重要なのが、すでに何度も登場している「至誠・勤労・分度・推譲」の四項目だ。 富田高慶は『報徳論』の「自叙」で と述べており、この四項目が重要だと世間に広まったのも、ここから始まっている。 繰り返しになるが、以下再度解説しておきたい。 「至誠
このマンガは、意外と知らないあるモノの始まりや起源について紹介するシリーズです。 身近なものや今では当たり前に存在するものでも、歴史を遡ってみれば誰かが発見したり、発明したものだとわかります。そうした人々の創意工夫や、実現させるまでの困難な出来事を知ることは、もしかすると未来を創造するヒントにつながるかもしれません。 投資信託の会社で働くキャラクターと一緒に、いろんなモノの「はじまり」を探しに行きましょう! 登場人物 第6話 ハンバーガーのはじまり 音声付きの動画はこち
前回はこちら↓ 第三一回 三才報徳金毛録『三才報徳金毛録』には彼独特の世界観が円の図をもって体系的に示され、最後に報徳仕法実施上の要点が記されている。 思想爆発の集大成だけあって極めて難解なものであった。 金次郎は「一円相」について、「混沌」→「開闢(かいびゃく)」→「輪廻(りんね)」の順に論理を展開している。 まず「混沌」だが、それはまさに読んで字の如く、何ものでもない「空」の状態であり、すべての出発点である「大極」である。 ちなみに金次郎は中国の陰陽思想の説く「太極」と
このマンガは、意外と知らないあるモノの始まりや起源について紹介するシリーズです。 身近なものや今では当たり前に存在するものでも、歴史を遡ってみれば誰かが発見したり、発明したものだとわかります。そうした人々の創意工夫や、実現させるまでの困難な出来事を知ることは、もしかすると未来を創造するヒントにつながるかもしれません。 投資信託の会社で働くキャラクターと一緒に、いろんなモノの「はじまり」を探しに行きましょう! 登場人物 第5話 変動為替相場のはじまり 音声付きの動画はこち
前回はこちら↓ 第三〇回 君臣具わって一騎と成る小田原に召還された豊田のその後だが、赴任前、彼に金次郎の仕法を邪魔しろと言っていた上司たちは手のひらを返したように知らぬふりを決め込み、豊田は案に相違して冷遇された。 サラリーマンが上司からハシゴを外された時ほど惨めなものはない。 (私が愚かだった……) 憑(つ)き物が落ちたように目が覚めた。 そんな天保元(一八三〇)年、失意の中にいる豊田のところに、なんと金次郎から桜町でとれた大豆や小豆、ゴマなどが届いた。これには驚いた。
前回はこちら↓ 前回までのあらすじ 豊田正作によって桜町仕法が妨害工作に遭い、辞任を申し出るも受理されず、進退窮まった金次郎は出奔。成田山に参籠する。金次郎を失って改めてその存在の大きさに気づいた領民と藩庁は豊田を離任させ、再び金次郎に仕法の継続を委ねることとなった。 第二九回 徳をもって徳に報いる 金次郎は、成田から帰ってきた翌日から回村を始めた。 不動尊の御真言は「祈るところ必ず霊験あり」というものだ。 迷いを払拭してもらったことへの感謝の気持ちを忘れず、床の間に
前回はこちら↓ 第二八回 一円相開眼丁稚を大久保邸に行かせている間に金次郎は情報収集をし、照胤(しょういん)と言う僧に修行をお願いすることにした。成田山新勝寺中興八世として知られる名僧である。金次郎より一二歳最年長で、当時は五三歳であった。 金次郎の話しぶりから、照胤は彼が精神的に相当参っていることを理解した。そこでまずは平穏な精神状態に戻すべく断食修行を勧めた。 一日や二日ではない、なんとここから二一日間の断食修行がはじまったのだ。 初めの七日間で徐々に食事の量を減らし
こんにちは、ひふみラボ編集部 池田です。 スタートアップが注目されるようになって就業先としてもそれほど珍しくなくなってきましたが、自分で起業するとなるとまだまだハードルが高い…そんな気がするのは私だけでしょうか。 学校を卒業し、企業に勤め仕事をする。このような人生を送ることが当たり前になっているから、起業って難しそうだと感じるのかもしれません。今の仕事に不満があるわけじゃないけれど、「自分の好きな事ができているか」とか「この仕事は本当に誰かのためになっているんだろうか」と考