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【イベントレポート】次の世界の成長センターはASEAN!アナリスト出張記

こんにちは。ひふみラボ編集部です。

ひふみ投信を運用するレオス・キャピタルワークスの運用部メンバーは6月19日~26日、ASEAN 3か国(ベトナム、インドネシア、フィリピン)に調査出張に行ってきました。お客様から出張の報告を聞きたいとの声が多く出たため、8月26日に報告会を催しました。

ASEANの街中を歩いて感じたこと、企業経営者の生の声など、盛りだくさんで楽しい報告会になりました。ASEANを愛するアナリスト、小野頌太郎の止まらない話、そしてタイムスケジュールを厳守する経済調査室長、三宅一弘のせめぎ合いも隠れた魅力(?)だったようです。

レポーターは引き続きマーケティング・広報部の大酒が担当します。

フィリピン・マニラ

ASEANを愛する小野

19時からのスタートにもかかわらず、はや18時過ぎからお待ちのお客様がいるほど。お客様はとても楽しみにされているようでした。レオス・キャピタルワークスのオフィス内では、開催直前まで調べものをする三宅と小野の姿がありました。

セミナータイトルは「ASEAN経済の現状と将来展望」。冒頭、営業本部の白水からのあいさつでは開口一番「タイトルが硬いですね……」。しかし始まってみると、生き生きとした出張報告に会場のお客様は聞き入っていました。

まるで親子のような小野アナリスト(左)と三宅経済調査室長(右)のペア

最初にASEANの現状をコンパクトに解説したのが、業界歴30年「日本最古のストラテジスト」こと三宅。世界の成長センターが中国からASEANやインドに移りつつあるとの見方を示しました。

中国はここ10年で賃金が上昇し「世界の工場」としての地位が揺らいでいます。これに米中貿易戦争が追い打ちをかけました。ベトナムやインドの平均年齢は30歳そこそこ。フィリピンに至っては20代前半です。労働力が豊かなASEANに世界の成長センターが移行し始めています。「グローバルなサプライチェーン(生産供給体制)再編成が進行中」と三宅は強調します。

ここら辺まで話してハッと腕時計を見る三宅。時間がないことに気づき、用意したスライドを怒涛のように飛ばして、親子ほど年齢の離れた小野にバトンタッチします。さすが時間厳守の三宅です。

小野は、今回の出張のほか、別の出張でマレーシア、シンガポールを訪れ、加えてプライベートでタイに行くほどASEANを愛しています。「ASEANは渋滞が日常的だから、みんなミーティングに遅れます。時間に正確な鉄道網が発達し、何事も時間厳守の日本人とは異なるメンタリティなんですよ」とのエピソードで、時間厳守の三宅に軽いジャブを打ちました。そして、時間を気にすることなく愛するASEAN(特にフィリピン)について思う存分語り始めました。

アジア最大級の外食企業CFOの話

皆様は「Jollibee」(ジョリビー)をご存じでしょうか。フィリピンに旅行したことがある方なら、そこで食べたことがあるかもしれません。フライドチキンのファーストフードチェーンです。「ジューシーでおいしかったよね」。スクリーンに映ったフライドチキンを見つつ、小野と三宅は旅の思い出を話す親子のようです。

Jollibeeの店舗(マニラ)

実はJollibee、フィリピン国内におよそ3200店舗、国外にも1400店舗を展開するアジア最大級の外食企業です(Jollibeeブランド以外の店舗含む)。フィリピンではマクドナルドをしのぐシェアで、一説にはフィリピンの赤ちゃんが「ママ」の次に覚える言葉が「Jollibee」だとか(現地の人の冗談)。同社最高財務責任者(CFO)のYsmael V. Baysaさんは「世界中に出稼ぎするフィリピン人の労働者が幸せになるレストランを作りたい」と小野に熱く語ったそうです。

時間を心配してそわそわする三宅を横目に、ASEAN(特にフィリピン)を愛する小野はかまわず話を続けました。

愛するフィリピンについて語る小野と時間を気にする三宅

フィリピンのみならずASEANは若い人が多く、人口が増える「人口ボーナス」の恩恵を受ける地域。「人口」とはよく言ったもので、人には口が1つついています。外食は「口」が多いほど儲かります。「出張中にショッピングモールをブラブラしていると、1階にも2階にも3階にも飲食店があった」と小野。日本のショッピングモールでは、飲食店の割合は総床面積に対して2割強ですが、ASEANでは4割弱にもなります。若くて食欲旺盛な「口」がたくさんあり、需要が増え続けているのです。

Jollibeeは買収によって成長してきた面も大きく、CFOによればこの積極М&A路線を続けるとのことです。10年で外食産業の時価総額グローバルトップ5に入るのが同社の目標です。現在の時価総額は5000億円ほどなので、トップ5入りするには今の時価総額の5倍くらい必要。ちなみに外食産業の世界トップは米マクドナルドの17兆円です。

ベトナム、インドネシア、フィリピンの3か国の出張報告のはずですが、フィリピンにだいぶ時間を費やしました(レポートではこのくらいですが、実際にはもっとフィリピンについて語っています!)。

「時間がアレなんで、ベトナムについて話しましょう!」。三宅が強引にベトナムに話を持っていこうとすると、小野は「ちょっとその前に」と、LCC(格安航空会社)が遅れて大変だった話題を始めました。やはり、時間におおらかになっているようです。「まじめなお父さんとマイペースな息子を見ているようだった」と営業本部の白水は振り返っていました。

勤勉なベトナム人、パンの需要が伸びるインドネシア

ベトナムは米中貿易戦争の漁夫の利を得る国だと言われています。中国企業が次々と生産拠点を移していることが報道されています。米中貿易戦争は同国のGDPを7.9%押し上げると言われ、これは台湾の2.1%、チリの1.5%をしのぎトップです。人件費が安いことや比較的勤勉な人が多いことが背景とされています。

ベトナム・ハノイの街並み

三宅は「やや長い目で見て製造業に厚みが出そう」と解説していました。ベトナム国内では、不動産や食品を手掛けるビングループという財閥が自動車製造に乗り出しました。

と、ベトナムについて解説しているうちに時間が迫ります。「5分でインドネシアを解説してください」と三宅が小野にはっぱをかけます。

インドネシアも人口が増加しているだけに、同国食品最大手のインドフードに小野は注目していました。同国内の即席麺シェアは9割にも達し、マイルドな業績成長が続いているとのことです。

インドネシアは1人当たりのGDPが伸び、主食が米からパンに代わってきています。パンの需要の伸びは年間3割とも言われていて「日本の敷島製パンが出資するニッポン・インドサリという製パン会社も興味深い」と小野は話します。セミナーのあった8月26日には、インドネシアのジョコ大統領が首都の移転先に、ボルネオ島東部の2つの県(日本の市町村に相当)を選んだと発表。建設やインフラ関連銘柄にも注目が集まりそうです。

インドフードでの取材(インドネシア・ジャカルタ)

お客様からも突っ込まれる和やかな質問タイム

質問タイムにはたくさんの手が挙がりました。

Q:フィリピンにたくさん時間を使っていましたが、フィリピン推しですか?

小野:いや、あのー、推しというわけではないですが、時間配分を間違えました。個人的に好きなのは確かです。

三宅がすかさずいつもの大きな声で小野をフォローします。「フィリピンは今後10年、20年単位で人口ボーナスが続きますので、注目しているのは確かです」

Q:為替リスクはどう考えていますか?

三宅:ひふみ投信は為替ヘッジをしていません。特にフィリピンやインドネシアのような経常収支の赤字国通貨は世界的な景気減速局面に売り込まれるため、注意して見ています。

Q:インドは調査しないのですか?

(なぜか)営業本部の白水:小野はインド調査を勧められた時「おなかが痛くなるからいやだ」と断ったそうです。

小野:いやいや、ちゃんと調査に行きますよ!

会場のお客様から笑いが起こり、三宅も「あっはっはー」と豪快に哄笑。セミナーはお開きとなりました。というわけで、次の出張セミナーは小野によるインドセミナーになる…かもしれません。

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◎当コメントは個人の見解であり、個別銘柄の売却・購入等の行為の推奨を目的とするものではありません。また、当社ファンドの組入れ等をお約束するものではありません。

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