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「お金は貯めるだけでなく“働いてもらう”ことで増えていく」── 投資信託の仕組みについて、レオス・キャピタルワークスで働く同級生に聞いてみた

ピースオブケイクでnoteのディレクターをされている平野太一さんによるシリーズ連載、いよいよ第5回です。

マネーフローの整理や、iDeCoの設定など、コツコツ着実に行動してきましたが、まだ理解しきれていないのが投資信託の詳しい仕組みや商品選びの部分。

今回は不思議なご縁で、“ある人”にアドバイスをもらうことになりました。

投資信託の基礎からもっと固めたい

「貯金ゼロからの資産づくり」ということでスタートした連載もすでに5回目。少しずつ行動してみたことで、見える景色はだんだんと広がってきたけれど、まだまだ分かっていないところも多い。

前回までの振り返り

iDeCoをスタートするにあたって、特に理解が難しかったのが商品選びの部分だった。そのためにも投資信託の知識の基礎をもっと固めたいと思っている。――と、ひふみラボnoteの編集を担当している坂崎さん(レオス・キャピタルワークスの広報)に相談してみた。

すると、「うちの会社に平野くんの知り合いだと言う人がいるから、その人にいろいろ教えてもらうのはどうですか?うん、それがいいですよ、なんか面白くなりそう」とのこと。

え、誰だろう??

聞いて驚いた。世間は狭い。

10年ぶりの同級生との再会にとまどう

レオスのオフィスに向かうと、そこに待っていたのは、10年ぶりに会う赤池実咲さんだった。地元・静岡の高校時代の同級生だ。

「“平野太一”って名前を見て、あれ?って思ったんだよね!静岡出身ってあったし、同じ歳みたいだったから」と、とても気さくに話しかけてくれる赤池さん。

正直なところ、静岡の高校時代には赤池さんと特に接点もなく、クラスが同じだったから名前をかろうじて覚えている程度だった。確かに同級生ならいろいろ聞きやすいかもしれない!……とはいえ、10年ぶりに、東京で、昔の自分を知っている人に出会うのはかなり緊張した。緊張が写真に出ている。

彼女は地元の静岡の地方銀行を経て、昨年からレオス・キャピタルワークスのダイレクト営業部で働いているという。

「今、投資信託をはじめようという人向けにセミナーの講師もしているんだ」

レオスのセミナーでは、自社商品の説明だけでなく「どうして投資が必要なのか」「投資信託がどういう仕組みなのか」を丁寧に説明しているのだそう(今度自分も参加予定)。その理由は、参加者がそもそも投資の意味や商品の仕組みや選び方を理解していないと、長く続かないから。それは自分も気持ちが分かるかも……。

せっかく同級生なのだから、いろいろ気になったことを聞いてみたい。さっそく特別講義をしてもらうことにした。

20年間で日本と世界の家計の資産はどれぐらい増えた?

まず、日本の投資環境の現状から教えてもらった。

「現金や投資信託、株式などを個人が家計でどれだけ持っているか、日本とアメリカ、ヨーロッパで比較したグラフなんだけど、日本って、50%以上が現金・預金になっているの(2018年時点)」

「比較してみると、日本って現金比率めちゃくちゃ多いな!これって貯金しているってこと?」

「そう。それからこっちは、日本とアメリカ、イギリスのお金(家計金融資産)の増え具合の違いなんだけど。日本は1995年から2017年までで1.5倍に増えているよね」

「確かに増えているけど……」

「それと比較して、アメリカは3.3倍、イギリスも2.5倍ぐらい増えていて」

アメリカの現金・預金の割合は13%、ヨーロッパは33%程度で、株式や投資信託を持っている割合が高い。対して、日本は現金・預金の割合が高い。投資をやったかやらないかで大きく差が出てしまっていたことがデータからも明らかだった。

「日本はお金をお金のまま持っておくのが大好きで、“お金を働かせてこなかった”ってこと」

貯金するしか方法を知らなかった自分からすると、これはなんだかショックだった。これまで貯金をしていたほうがよかった時代もあったけど、今の預金金利は0.001%ほど。ずっと持っていたとしてもお金はほとんど増えない……。貯金だけで安心できる感じがしないのは、他の国と比べてみたことで納得できた。

でも、投資には馴染みがなかったし、今の会社に転職しなかったらきっとずっと知らずに過ごしていた気がする。それにこの企画をやる前の自分だったら、「勉強してからでなければいけない」と思って、なかなか踏み出せなかったと思う。損するかもしれない、リスクが高い、保険と比べてピンと来ない、難しそう……などなど、気が進まない理由はたくさんある。

「そういう人にはどうアドバイスをしているの?」と聞いてみたら、「とにかく走り出してみるしかないですよ!って」と強く答える赤池さん。

赤池さんが静岡の銀行で働いていたときも、若い人たちで定期預金の積み立てをする人はいても、「投資」という選択肢を持っている人はほとんどいなかったという。「親世代がそうしていたから」という理由で、特に預金以外の選択肢を考えないのだそうだ。彼女はその状況を変えたい、若い人たちに投資について興味を持ってほしい、という思いから、投資の意義から伝えられるレオスに転職を決意した。

知るだけではだめで、実際に行動に移してみること。相場は上がったり下がったりすることも想定して、まずは少額からつみたてで投資に回してみるのがおすすめだそう。

そうやって“小さな投資家”になってみることで、自分が投資したお金が企業活動の一助になり、それが巡り巡って自分のためにもなる、「お金のエコサイクルを回す」という実感が得られる。そこに腹落ちすることが投資を続けていく上で大事なことだとも教えてもらった。

どうして6000本もの投資信託がある?

いよいよ、ここから投資信託の仕組みについての解説を受ける。

投資信託とは、ざっくり言うと、投資家から集めたお金をまとめて、専門家が株式などに分散投資する金融商品。

特定の国や地域、業界に集中して投資するものもあれば、世界の株式連動に合わせたもの、国債や社債などが入っているものもあり、その詰め合わせが商品の個性になる(詰め合わせ内容や実績は、商品ごとに発行される「目論見書」というものに詳しく書かれている)。

iDeCoをはじめてみて思ったのが、投資信託って数が多くてどれを選んだらいいか分からない!ということだった。2019年7月現在、約6000本もの投資信託があるという。

なぜこんなに多いのか。疑問だった。

聞くと、これまでの投資信託の業界の構造に起因しているようだ。

投資信託の運用会社は、証券会社、保険会社、銀行など、大手資本の系列の子会社であることが多い。証券会社などの販売会社にとっては、流行やテーマに沿った目新しい商品があったほうが売りやすくなる。そのため系列子会社である運用会社の商品のラインアップも、それに合わせてどんどん増えてきていたのだそうだ。

(しかし、顧客に投信の買い替えを促しながら販売手数料をその都度とる「回転売買」は、金融庁も問題視して指導が入っており、ここ最近では投資信託の本数の増加スピードは落ちているらしい)

背景を教えてもらうと、少しスッキリした。ひとつずつスッキリしていく、この過程が大事だ。

【次回】どうやって自分に合った投資信託を選べばいいの?

投資の意味、投資信託の仕組みがわかったところで、次回は、投資信託の選び方について聞いていく予定だ。

対象商品が絞られている「iDeCo」や「つみたてNISA」でさえ、商品が文字の羅列に見えてしまったのだから、6000本もの投資信託の中から、どうやって善し悪しを判断したらいいのかわからない……。

赤池さんは、着目すべきポイントはこの3つで良いと提案してくれた。
・シャープレシオ
・目論見書
・手数料

ということで、詳しくはまた次回に。

(次回は8月中旬公開予定)

プロフィール:

ライター:平野太一
1991年静岡県生まれ。関西大学経済学部卒業。2013年10月よりWantedly, Inc.に入社。CSを経て、募集要項の作成・取材・ウェブメディア「WANTEDLY JOURNAL」の執筆・撮影などを担当。2016年1月よりBAKE Inc.に入社。ウェブマガジン「CAKE.TOKYO」の編集・執筆・撮影を担当。BAKE CHEESE TARTのSNS・LINE@運用、リーフレットの撮影などを担当中。2018年10月より、Piece of cake, Inc.にnoteのディレクターとして入社。クリエイターガイドやイベント企画、クリエイターサポートなど、全方位で担当中。
Twitter : https://twitter.com/yriica
note : https://note.mu/yriica

※当記事のコメントは、個人の見解であり、市場動向や個別銘柄の将来の結果をお約束するものではありません。ならびに、金融商品等の売却・購入等の行為の推奨を目的とするものではありません。