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「お金と上手に付き合える大人」になるために。レオス山﨑が子どもに伝えたいこと【前編】

「お金についての知識に自信がない」
「子どもたちが生きる時代に、自分の経験が役に立つのかわからない」

そんな多くの親御さんと同じ不安を抱えるライターの森川さんが、個性豊かなレオス・キャピタルワークスのメンバーに「お金の教育」についてあれこれ疑問をぶつけていく本連載。今回は小学2年生の女の子と2歳の男の子のパパ、社長室長 兼 内部監査室長・山崎孝の登場です。

「だまされてしまう大人になってほしくない」と熱く語る山崎は、小学2年生の娘さんに「期待値」や「住宅ローン」についても説明しているそうで——!? 

過度に子ども扱いせず「お金」や「社会」についてフラットに伝える日々のエピソード、ぜひお読みください。

「欲しい」を伝えるときのルール

——山﨑さんのご家庭には、小学2年生の娘さんと2歳の息子さんがいらっしゃるとのこと。ひとりでお金を使う機会は少ない年頃だとは思いますが、「お金の教育」で取り組んでいることはありますか?

山﨑:基本的に、子どもたちに「こうなってほしい」という理想像は持っていません。ただ元気に育って幸せになってほしいと切に願っているだけなので、「お金」についてもゴリゴリ教育しているわけではないんですよ。

けれど、幸せに生きていくためにはお金とうまく付き合っていく必要があります。そのために身に付けてほしいと考えていることが2つあって……。

社長室長 兼 内部監査室長の山崎孝。妻と小学2年生の娘、2歳の息子の4人暮らし。息子さんは現在「ママじゃなきゃイヤ期」だそう

——なんでしょう。ぜひ教えてください!

山﨑:ひとつは、「正しいお金の使い方」です。「正しい」と言っても、万人に当てはまる「正解」があるわけではありません。ただ、「なぜそれが欲しいのか」「何を期待するのか」を考えて、納得できたものにお金を使える人になってほしいと思っています。
 
我が家は、欲しいものがあればその都度一緒に買うスタイルで、お小遣い制度がありません。じつは数年前まで、はじめての子どもがかわいくてつい買い与えすぎがちだったんですが(笑)、このままじゃお金の大切さが伝わらないと反省して。お金は本来、意思を持って使うもの。子どもだからといってあいまいにしないようにしようと、ルールを決めました。

——「正しいお金の使い方」とは、きちんと自分の意思が宿った買い物をする、ということなんですね。それはどのようなルールですか?

山﨑:「欲しい理由を言えたら買う」です。たとえば「人形が欲しい」と娘が言ってきた場合、「どうして欲しいの? コレを買うと何ができるの?」などと訊くようにしています。

——なるほど。けれど、急に「欲しい理由」を訊かれるようになって、娘さんはびっくりしませんでしたか?

連載担当のライター、森川さん。幼稚園年中の娘さんへの「お金の教育」を考えるべく、鋭意インプット中。

山﨑:すごくめんどくさそうな顔をしていました(笑)。けれど「どれくらい本気で欲しいのか、自分でよく考えることが大事なんだよ」と伝えると、欲しい理由をじっくり考えてくれるようになりましたね。

——小学2年生で「欲しい理由を考えて伝える」ことを習慣にできるなんて、すごいです。ちなみに、最近はどんな買い物を?

山﨑:少女漫画の月刊誌です。「漫画家を目指したいから、漫画雑誌を買ってほしい」とプレゼンされて(笑)。彼女がどの程度の熱意で漫画家になりたいかはわかりません。けれどどんな理由であれ、そこに子どもの明確な意思があれば買ってもいいと思っています。
 
たとえ「買う」という結論が変わらなくても、僕とのコミュニケ―ションを通して、欲しい理由を考えて、納得してからレジに持っていくプロセスを重ねてほしいなと思います。

UFOキャッチャーの「期待値」を伝える!?

——とはいえ、お子さんたちの欲しい気持ちが止まらなくなることはありませんか? 私の5歳の娘なんて欲望のままに「買って、買って」の一点張りになることもしばしばです。
 
山﨑:あります、あります。ゲームセンターに行くと、UFOキャッチャーにお金を際限なく使おうとします(笑)。そんなときは「期待値」を伝えるようにしていますね。
 
——ええ!  たしか、「 宝くじを買った全員の当選金額の平均値」みたいな話……ですよね? 小学2年生に、ですか?
 
山﨑:そうです。期待値というとむずかしく聞こえますが、ごくシンプルな話ですよ。「このUFOキャッチャーは、1回100円です」「ただし、5回に1回くらいしか商品は取れません」「つまり、ひとつのおもちゃを取るのにだいたい500円のお金がかかります」「500円あれば駄菓子を5個買えます」「500円支払ってそのおもちゃが本当に欲しいのか、よく考えてごらん」。
 
……で、娘はよく考えた結果、UFOキャッチャーに500円使っておもちゃをゲットしていました(笑)。
 
——おもちゃに500円の価値を感じて納得したんですね(笑)。それにしても、「なんとなく」でお金を使わないための声かけを、日常の様々なシーンでされていておどろきました。
 
山﨑:お金を「湯水のように湧いてくるもの」と捉えてほしくないですからね。モノやサービスに付いている価格と、得られる価値が釣り合っているかどうか、自分のモノサシで考えるクセをつけてもらいたいです。

「だまされない」ために、お金の基本と社会の仕組みを知ってほしい。

——お金と上手に付き合っていくために身に付けてほしいことが2つある、とおっしゃっていました。「お金の正しい使い方」と、もう1つはなんでしょう?
 
山﨑:「お金の基礎的な知識」です。子どもたちには、詐欺などの事件から自分の身を守れる人になってほしいと思っているんです。少し前のことですが、ニュースで投資詐欺の被害者が自殺に追い込まれた事件を目にして、本当にいたたまれない気持ちになってしまいました。
 
こういった事件は決して他人ごとではなくて、誰もが当事者になる可能性があります。だからこそ、お金のトラブルから身を守るための最低限の知識を身に付けてもらいたいですね。
 
——お金の「最低限の知識」はどのように習得すればいいのでしょうか?
 
山﨑:まずは、お金の流れを知ることから始めるといいと思います。娘にも、普段の生活の何気ないところで、お金の流れを意識してもらうようにしています。たとえば、彼女の習い事の送迎をしている途中に「君の習い事にかかるお金は、僕が働いて稼いでいるんですよ。十分に感謝したまえ」と言ってみたり……(笑)。
 
——ユーモアをまじえながら伝えていらっしゃるんですね。娘さんにとっては、自分の生活を支えているお金がどこから入ってきて、どうやって出ていくのかイメージしやすい例だと思います。
 
山﨑:はい。「お父さんが働いてお金を稼いでくる」「そのお金で自分は生活している」ことはもちろん、「お金は価値の交換手段」だということも感覚的に理解できているんじゃないかな。
 
——「お金の流れ」のほかに伝えている「知識」はありますか?

山﨑:「だまされない」ためにも、「リスクとリターンの関係が合わないものはおかしい」ことは継続して伝えていきたいと思っています。「リスクゼロで必ず儲かる」なんてウマい話は存在しないよ、と。あと、たくさんのお金を集めることがいかに大変かを伝えるために、住宅ローンの話をしたこともあります。
 
——住宅ローンですか! 子どもに話すには、けっこう生々しい例ですね……(笑)。
 
山﨑:きっかけは、「このおうち、大好き! とっても気持ちいいよね」という娘の言葉を耳にしたことでした。そこで「この家は、銀行から借りたお金で建てているんだよ」と話したんです。さらには「借りたお金の大きさ」や「そのお金を毎月返済している」こと、あとは「僕が死んだら借金がゼロになる制度がある」とも話しました。
 
——団体信用生命保険(*)の話まで! 複雑なテーマですが、お子さんは理解できましたか

(*)住宅ローン返済中に契約者が死亡した場合、住宅ローン残高が返済される保障制度。通称「団信」

山﨑:すべてを理解しているわけではないですが、「借金」の概念はわかっているみたいです。先日も「はやくお金を返しちゃおうよ。お金は私が持ってるから」と貯金箱からお金を出してきてくれました(笑)。
 
——わぁ、とっても健気でかわいい。

山﨑:はい、本当に(笑)。話を戻すと、すべてを理解できなくても、お金の流れや住宅ローン、団信など、社会の仕組みをひとつずつ知ることが大事だと思っています。基礎の基礎ですが、知るのと知らないのとでは、世界の見え方が違ってくる。その積み重ねが、「だまされない人間」を育てるはずです。
 
子どもの理解力を甘く見ずに、生活に根差した社会の原理原則を伝えていけば、そこで得た知識が、いつか子どもたちの身を助けてくれると信じています。

リアルなお金に触れない現代だからこそ、必要な「四則演算」

山﨑:あとは、だまされないだけの最低限の学力は身に付けてほしいですね。それをサポートするのが親の役割だと思って、今は九九の暗記を手伝っています。
 
——偏差値の高い学校に入るためではなく、あくまでも、だまされる危険から身を守るための学力を習得してほしいと。
 
山﨑:はい。本人が好きでないのなら、勉強はほどほどで構いません。ただ、生きるうえで必要な四則演算は満足にできるようになってほしいですね。

——とくに今は電子決済が一般的になって、おつりの計算が苦手な子どもが増えていると聞きます。
 
山﨑:ああ、うちも最近はほとんど電子決済で買い物をしています。娘が現金に触れるのは、ゲームセンターで100円玉を使うときぐらいじゃないでしょうか。おつりを計算することもほぼないし、「ピッ」と電子音ひとつで済んでしまうから、お金を支払った実感もないと思います。
 
そういえば僕は、貯金箱に貯めた100円玉や千円札の枚数を数えて合計額を計算するのが好きな子どもでした。思い返してみれば、現金に触れて計算する習慣が、収支を把握したり、お金の有限性を肌で感じ取ったりする機会になっていたような気がします。
 
こうした経験は子ども時代に必要なものだと思うので、親である僕が現金を使う場面をできるだけ増やしていかないといけませんね。

「ひとりの人」として子どもと接する大切さ

——お子さんと対等にお話をされる山﨑さんの、一貫した姿が印象に残りました。子どもだからといって、あえて目線を落とさないコミュニケーションの取り方が素敵ですね。
 
山﨑:ありがとうございます。娘は近ごろ、こちらがびっくりするほどしっかりした発言をすることがあります。だからでしょうか、自然と子ども扱いしなくなりました。これからも、「子ども」というより「ひとりの人」として接していきたいですね。
 
——親が子どもと対等にコミュニケーションを取れば、子どもの社会を知る機会がグンと広がるんだなと実感しました。必要以上に目線を落としすぎないように気を付けながら、子どもとの会話を楽しみたいと思います!
 
(後編に続く)

プロフィール:

ライター:森川紗名
1985年 兵庫県生まれ。ライター。4歳の娘を持つ母でもあります。食品会社に10年あまり勤めたのち、育児に専念したく退職。その後、書くことに魅了されフリーランスのライターに転身。現在はウェブ媒体記事の執筆などを担当しています。

取材・執筆:森川紗名
編集:田中裕子
写真:沼尾紗耶(レオス・キャピタルワークス)

※当記事のコメント等は、掲載時点での個人の見解を示すものであり、市場動向や個別銘柄の将来の動きや結果を保証するものではありません。ならびに、当社が運用する投資信託への組み入れ等をお約束するものではなく、また、金融商品等の売却・購入等の行為の推奨を目的とするものではありません。

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