「コツコツ続ける」ための覚悟を学ぶ!初心者投資家としてお金イベントに登壇することになった話
ピースオブケイクでnoteのディレクターをされている平野太一さんによるシリーズ連載です。
この連載の第2回、第3回でiDeCoでの資産づくりや投資信託の基本についてのレクチャーをしてくださったファイナンシャル・ジャーナリストの竹川美奈子さん。9月11日、竹川さんが主宰する勉強会のイベントにパネラーとして平野さんが登壇したということで、今回はそのイベントのレポートになります。
当時は投資経験どころか貯金ゼロからスタートした平野さんでしたが、そこからコツコツと勉強を続け、ついに登壇者側に!
成長の様子もぜひご覧ください。
大御所の専門家に混じって登壇
竹川美奈子さんと、投資ブロガーのrennyさん、そして「投資信託事情」編集長の島田知保さんのお3方が主催している「コツコツ投資家がコツコツ集まる夕べ(東京)」という交流会イベントがある。定期的に「コツコツ投資」に関心のある人たちが集まって(飲んで)いるものだそうだ。
今回はいつもの交流会の番外編という体裁で、noteとコラボでの勉強会だった。「資産形成に関心はあるけど、最初の一歩を踏み出せていない」投資初心者を対象にして、コツコツ投資を続けることの大事さを知ってもらうために、noteのイベントスペースをお貸しして開催したものだ。
こんなイベント↓
そこに自分も、パネルトークに登壇することになった。大御所の投資家に混じって、初心者投資家として。詳しいことは先輩方にお任せして、自分は初心者としての立ち位置から話すことに徹すればいいとのことだったので、特に心配することなくお受けしてみた。
左から、投資教育家・岡本和久さん、「投資信託事情」編集長・島田知保さん、自分
テーマは、老後に向けて準備をするために必要なお金の知識を学ぶこと。noteのイベントということでやはり通常の投資の勉強会よりも年齢層は若かったようだ。
二部制で、一部では岡本さんの「50年の証券市場での経験でたどりついたお金との付き合い方、お金の育て方」という投資についてのトークがあり、二部でパネルトークとして会場から事前にもらっていた質問に答えながら話をした。
この連載がはじまったのが今年の春。そこから投資信託の仕組みやはじめ方、投資に関する知識を1から教えてもらい、「iDeCo」や「つみたてNISA」の申し込みも完了したタイミングだったので、振り返って言語化する良い機会にもなったと思う。専門用語が出てきてもうろたえないくらいにはなっていたので、自分なりにも成長を感じる。
「コツコツ投資」を続けることはなぜ大事なのか
第一部の岡本さんの講演は、自分もひとりの参加者としても聞いてみて、今のうちからコツコツ投資をし続けることがどうして大事なのかをあらためて理解し、続けていくことの難しさを知った。
長寿化が進んでいく現代では、老後に必然的に生活の質を守るためには当然ながらより多くのお金を準備しておかなければならない。
大事なことは、働いている若いうちから、毎月の収入をそのまま使ってしまうのではなく、“将来の生活費” のためにも積み立てておくこと。岡本さんがおっしゃっていた「今月の収入は、今月の分と将来の分を合わせたもの」という言葉は、今も頭にこびりついている。この連載がはじまる半年前の自分は、給料を当たり前のように全額使い果たしていたからだ……。
将来の生活費を蓄えておく手段として「貯金」があるが、今の預金金利は0.001%ほど。貯金だけで増やそうとするのであれば誤差程度で、無いに等しい(何もしないよりはマシだが)。それよりも、コツコツと投資をして時間を味方にするのだ、と竹川さんは話していて、赤池さんが「日本はお金をお金のまま持っておくのが大好きで、“お金を働かせてこなかった”」という話にも通ずるなと気づく。
投資の大事さに気づいた瞬間からすぐにはじめ、時間をかけてコツコツと積み立てていくのがベターではないか、と腹落ちした。
マイナス期間4年5ヶ月と聞いてショック……
しかし、今回のパネルトークで一番ショックを受けたのが、コツコツ投資をしていけば100%うまくいくわけではないということだった。
世の中に絶対うまくいくものはない。当然といえば当然の話なのだが、うまく値上がりするときもあれば、もちろん下がっていくときもある、というのが現実だ。
途中で、コツコツ投資歴15年以上というrennyさんのこれまでの投資実績の推移をまとめたグラフが紹介された。
今はコツコツ投資を続けた結果、総資産は元本よりも約2倍に増えているそうだが、リーマンショックのタイミングで一時は大幅にマイナスになった(マイナス37%)という。
しかも、資産がマイナスで推移した期間は、なんと4年5ヶ月!
聞いた瞬間、背筋が凍る思いがした。
(愕然としたときの表情を撮られていた)
実際にまだ投資をはじめて半年。このところは大きな相場変動もなかったため、あと数十年間のあいだに価格が暴落するかもしれないという当たり前の可能性については、いまいちピンときていなかったのだ。
一応、自分では半分になっても大丈夫だと思える金額を投資信託に回しているものの、それが毎月積み立てていっても、どんどんマイナスが拡大していくこともあると考えると……。自分のやっていることに意味があるのだろうか、と怖くなってしまいそうだ。
同じくパネルトークで登壇した、投資教育家の岡本さんは、次のように言う。
「(たとえマイナスになったとしても)リタイアするまで、毎月一定額の積み立て投資を絶対にやめてはいけない」
絶対にやめない――。もし自分がその当事者になったらどうするだろうか、果たして耐えられるのだろうか……? やや途方に暮れながら、イベントは終わった。
マイナス投資期間のときに何を信じればいいのか
イベント後、rennyさんに話を聞いた。4年半のマイナス期間についてのことだ。
「つらくなかったんですか?なぜ続けられたんですか?」先輩投資家に率直に尋ねてみた。
「マイナスにびっくりしてそこで売ってしまったら先がないので、それでも続けようとすることが大事。一方で、値上がりしていくときも、下がる可能性を考えて利益を確定したい気持ちに駆られますが、その誘惑に負けないことが重要です」
そうは言っても、どうしたら誘惑に負けないようになるのだろうか?
rennyさんはゆっくりと頷いて、
「自分が何の価値に投資しているのか、わかっていることが大事ですよ」
パネルトークの中で、岡本さんもこんな話をしていた。
トヨタ自動車は、かつて米国でトランプ政権が勝利したときに株価が暴落し、株式の時価総額が1日で1兆4,600億円もなくなったそうだ(連結利益が1兆8,300億円)。ただ、トランプ政権になったからといってトヨタ自動車がつぶれるわけではない。1年間に2兆円規模の利益をうみだしている会社がたった1日で1兆円以上も企業価値が落ちるはずもない。むしろ株価が下がったから価値のあるものを安く買える、とポジティブに考えることもできる。
つまり、株の値動きを追うのではなく、これから伸びる企業の価値を買っているんだ、ということを肝に銘じないといけないということだ。
「投資先のたくさんの会社の価値を感じられたから、たとえマイナスであっても動じることなく投資をし続けることができたんです」
本当にその通りだなと感じた。価値を信じられるかどうか、だ。
そうなると、自分がiDeCoで投資しているような世界株式のインデックスファンドでは、株価指数に含まれるたくさんの企業に投資するわけだから「世界の主要企業の成長価値を信じられるかどうか」ということになるのだろう。自分で投資する企業を選ぶことはできないので、少し漠然としてしまうのは否めない。
最初はインデックスファンドで運用しながらも、アクティブファンドで顔が見える運用の「ひふみ投信」をバランスよくコツコツ投資していくのが、自分としては最適なのではないかと感じている(いまは8:2で投資をしている)。アクティブファンドの場合は、託す人たちを信じられるかどうかということにも繋がるのではないだろうか。
顔が見える運用については、前回書いている↓
ちなみに大暴落は10年ぐらいのペースで一度起きるらしいので、そのときに動じない胆力を身につけたいなと思う。もし大暴落があるならどうか早いタイミングでお願いします……。
初心者投資家のひとりとして経験を伝えること
イベント後は、これから資産形成をはじめようと考える方たちからいろいろ質問された。「どこの証券会社にしたんですか?」「どこの投信を買ったんですか?」とか。
半年前までは自分が聞く立場だったはずなのに、いつの間にか自分がこれまでの経験を話す立場になっていたことを考えると、なんだか感慨深い。……と竹川さんにも言われた。
初心者投資家のひとりとしての経験が、誰かの役に立てたら嬉しい。
今回のイベントを通じて、自分がこれまで学んできたことのおさらいができて、さらに視界がクリアになった気がする。それにマイナスになった場合の心構えもできたし、インデックスファンドとアクティブファンドの特性の違いについても、理解が深まった。
rennyさんから教わったように、投資先の「価値」を知るという姿勢も、投資を長く続けるためには大事なんだろう。
前回予告していた「投資信託の中の人」へのインタビューも、これからやっていきたいと思う。
rennyさんのnoteはこちら
プロフィール:
ライター:平野太一
1991年静岡県生まれ。関西大学経済学部卒業。2013年10月よりWantedly, Inc.に入社。CSを経て、募集要項の作成・取材・ウェブメディア「WANTEDLY JOURNAL」の執筆・撮影などを担当。2016年1月よりBAKE Inc.に入社。ウェブマガジン「CAKE.TOKYO」の編集・執筆・撮影を担当。BAKE CHEESE TARTのSNS・LINE@運用、リーフレットの撮影などを担当中。2018年10月より、Piece of cake, Inc.にnoteのディレクターとして入社。クリエイターガイドやイベント企画、クリエイターサポートなど、全方位で担当中。
Twitter : https://twitter.com/yriica
note : https://note.mu/yriica
※当記事のコメントは、個人の見解であり、市場動向や個別銘柄の将来の結果をお約束するものではありません。ならびに、金融商品等の売却・購入等の行為の推奨を目的とするものではありません。