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創業者や将軍 本物のプロが著したビジネス書/巣ごもり読書におススメの一冊(中編)

もうすぐゴールデンウイーク。緊急事態宣言が出される中、レオス・キャピタルワークス社内でも旅行をあきらめたメンバーがたくさんいます。せっかくの巣ごもりGW、ゆっくり読書して過ごすのも手。アナリストら運用部メンバー13人に、お勧めの本を聞いてみました。

古典を紹介した前編に続き、中編ではビジネス書を取り上げます。それぞれのメンバーの個性が表れているラインアップでした。聞き手は、マーケティング・広報部の大酒です。(一部敬称略)

    前編はこちら↓

シリコンバレーの起業物語に刺激を受ける

IT関連のビジネス書を挙げたのはシニア・アナリスト韋珊珊(ウェイ・シャンシャン)とアナリスト堅田雄太

まず堅田が挙げたのがこちらです。

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『情報経済の鉄則 ネットワーク型経済を生き抜くための戦略ガイド』
カール・シャピロ、ハル・ヴァリアン著
(日経BPクラシックス)
※1999年の出版当初のタイトルは「『ネットワーク経済』の法則」

Googleのチーフエコノミストのハル・ヴァリアンが1999年に書いた本です。軽めのタイトルですが、内容は示唆に富むものばかりです。20年経っても色褪せない、インターネットを使ってビジネスをする上で大切なことが詰まった一冊だと思います。

「ネットワーク効果」「標準化」「ロックイン」といったインターネットビジネスの根幹となる概念を網羅的に提示した古典とも言うべきビジネス書です。もともとインテルやアドビが1990年代に採用していたビジネス戦略のエッセンスを抽出したような本で、1999年の出版当初はこの本がシリコンバレーの起業家たちの間で大きな話題になりました。大学教授をしていた著者ヴァリアンは、出版から3年後の2002年にGoogle創業者のエリック・シュミットに声を掛けられ、ネット広告のオークションの仕組みの開発にかかわるようになりました。

続きまして、韋(ウェイ)のおススメの一冊はこちら。

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『クラウド誕生 セールスフォース・ドットコム物語』
マーク・ベニオフほか著(ダイヤモンド社)

セールスフォースの創業者が書いた創業物語です。ビジネス戦略や企業価値について、興味深いエピソードをもって語った一冊です。2008年の金融危機の中でも大きく売り上げを伸ばしてきた企業の経営者から、ピンチをチャンスに変える考え方を垣間見ることができます。

目次を見るとハウツー本的な構成ですが、創業者自らが豊富な泥臭いエピソードを交えて語っているため手触りがあり、読み物として面白い本です。残念ながら絶版になっており、アマゾンでは5500円で中古品が出品されていました(執筆時点)。

最近出版された類書では『NETFLIX コンテンツ帝国の野望』(ジーナ・キーティング著、新潮社)があります。創業者本人ではなく元ロイター通信のジャーナリストによる著作ですが、やはり創業物語が面白い。DVDの宅配レンタルとして始まったネットフリックスが、お金がなくて人気の新作タイトルをたくさん購入できないという問題に直面し、これを解決するために予約サイトに様々な工夫を凝らします。この時の創意工夫は、今のネットフリックスの戦略に引き継がれていることが感じられます。「週刊文春」の読書コラムでは、フランス文学者の鹿島茂さんがこの本を絶賛していました。

米陸軍に学ぶ 先行き不透明な時代のための組織論

シニア・アナリスト八尾尚志が挙げたのは企業の創業者ではなく、軍の元リーダーによる組織論のビジネス書。

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『TEAM OF TEAMS(チーム・オブ・チームズ)』
スタンリー・マクリスタルほか著(日経BP社)

米陸軍特任部隊を率いイラク・アフガニスタンのテロ組織と戦った元司令官、スタンリー・マクリスタル氏による「勝つための組織作り」についての本です。優秀な人材や技術があっても従来型の組織では太刀打ちできないこと、また勝つための組織になるには何が必要なのか、について書かれています。複雑で不確実性が強まり先行き不透明な現在にふさわしい本です。

著者のマクリスタルは、2003年からアルカイダの掃討作戦を指揮した人。当時、アルカイダに関する膨大な機密情報を集め、作戦会議の場でホワイトボードにアルカイダの組織図、指揮命令系統を書き出したエピソードから論考が始まります。軍隊式の、高度に洗練されたピラミッド型の組織ではなく、一見カオスのような指揮命令系統にマクリスタルは面食らい混乱します。

圧倒的な武器を持ち、洗練された秩序を持つ米軍は、なぜアルカイダに苦戦するのか。敵の組織を研究し、そのやり方を取り入れることで勝つ組織を作り上げたマクリスタルは、退役後に経営コンサルティング、リーダーシップ開発などを手掛ける会社を設立しました。

大戦時に株式相場はどう動いたのか

マーケットに関する書籍を挙げたのはシニア・アナリスト佐々木靖人

第二次世界大戦前後、戦況に応じて相場がどのように動いたのかを丹念に追った本で、米モルガン・スタンレーに30年間勤務した後にヘッジファンドを設立した大物ストラテジストによる著作です。

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『富・戦争・叡知』
バートン・ビッグス著(日本経済新聞出版)

今は積読を解消する良い機会と捉えていますが、一冊だけ読み直そうと思っている本がこちらです。相場の先見性(株価が持つ性質のひとつで、将来の材料を先取りして株価に織り込みながら推移すること)について、戦争を題材に書かれた名著です。ただ、今の相場は中央銀行の行為で、素直に先見性があるかは別の問題なのですが。

   後編に続きます↓

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ちなみに、当社では月次の運用レポート「ひふみのあゆみ」を毎月ホームページにアップしています。他社にない特徴の一つは、運用部メンバーが共通のトピックについてコメントするコーナーがあること。どんな人がどんな考えでお客様のお金を運用しているのか、少しでもご理解いただきたいと考えているからです。今回はGWに向けた運用部コメント“番外編”として、おススメの本を聞き、3回にわたってnoteにて紹介していきます。

過去のひふみのあゆみはこちら↓

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※当記事のコメントは、個人の見解であり、市場動向や個別銘柄の将来の結果をお約束するものではありません。ならびに、当社運用ファンドへの組み入れ等をお約束するものではなく、また、金融商品等の売却・購入等の行為の推奨を目的とするものではありません。

とっても嬉しいです!
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投資信託「ひふみ」を運用するレオス・キャピタルワークスの公式noteです。ちょっととっつきにくいと思われがちな「投資」のこと、「お金」のこと。本当の楽しさ、おもしろさを伝えたくて、あれこれ研究していきます。金融商品取引法に基づく表示 https://bit.ly/2On4z9V

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日々、ビジネスの現場を歩いて取材、分析するのがアナリストの仕事。社内で彼らの雑談に耳を傾けていると、世の中の新しい流れが見えてきます。アナリストたちが独自のアンテナでキャッチしたネタを大いに語ってもらおうという連載です。