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対話することで未来をつくりたい。上場企業と投資家の良い関係とは(後編)

「私たちの上場ストーリー」は、上場にまつわる様々なエピソードを通してレオスのことを知っていただくとともに、株式市場の魅力や面白さをお伝えしたいと発信しているシリーズです。

今回は「投資家としてのレオス」をテーマに、上場企業の調査をする株式戦略部のメンバーにインタビューしました。
日本にはおよそ4,000社の上場企業があります。海外に目を向けると、さらに多くの上場企業が存在します。投資家は数ある企業の中から将来性を見極めて資金を投じ、リターンを得ることを目指しています。レオスは投資家としてどのような調査活動をしているのか、上場企業や株式市場にどんな想いをもって接しているのか、ぜひご覧ください。


渡邉 庄太(ワタナベ ショウタ): 運用本部長
2006年入社。2021年4月より現職。投資信託「ひふみマイクロスコープpro」をはじめ、運用指図の判断をするファンドマネージャーを務める。お客様向けのセミナーやイベントでも、分かりやすい解説が好評です。

妹尾 昌直(セノオ マサナオ):運用本部 副本部長 兼 株式戦略部長
2021年1月入社。株式戦略部にて企業調査を担当し、国内株・海外株ともに知見が深い。レオスの運用チーム内では最も「感情のボラティリティが低い」とか。

上場したことについて


――どのような気持ちで4月の上場日を迎えたのでしょうか。渡邉さんは創業間もない時期からレオスのメンバーとして活躍されています。

運用本部長の渡邉は、20年以上日本株の運用に携わっている。

渡邉:当日はすごく緊張していました。東京証券取引所(東証)の2階に見学者のためのスペースがあって、そこから1階で行われる上場セレモニーの様子を緊張しながら見守っていました。2018年12月に上場中止になったことがあるので、ワクワクというよりもハラハラしていましたよ。上場できて本当に安心しました。
これまでを振り返って「大変だったな」という気持ちはあんまりなくて、上場したことによって新たな責任を感じています。これから新しく個人株主の方も増えていく中で、株主の皆様にどう向き合っていくか、などと先のことを考える方が多いです。

妹尾:上場したことで仕事には影響ないですが、これまで上場会社に対して「こうした方がいいですよね」と言ってきたことがそのまま自分たちに返ってくるということになりましたので、襟を正さなければという気持ちです。もちろん上場していなくても大事なことですが、上場企業として同じ土俵にいるので、なおさらですよね。

2023年4月25日、東証の2階からセレモニーを見学した時の様子。


社内で上場の疑似セレモニーを続ける理由


――レオスのミニIPOセレモニーはいつから行なっているのでしょうか。発案者は誰ですか?

渡邉:いつからか覚えていないけど、かなり前からやっていますよ。発案者は社長の藤野さんです。

【鐘を鳴らすセレモニー】
レオスのエントランスには東証の鐘を模した小さな鐘があり、上場を控えた企業の皆様がロードショー(上場の前に、機関投資家に向けて行なう会社説明)にいらしたときには、本番前の予行演習としてこの鐘を5回鳴らしていただきレオス社員でお祝いしています。

渡邉:ミニセレモニーの実施は、当日レオスの社内で告知されます。「本日〇時よりIPOロードショーで1社ご来訪が予定されています。出社している皆さま、会議室前にて温かい拍手&ご声援を頂けますと幸いです」といったアナウンスが株式戦略部からあり、時間になると社員が集まってきます。

ミニセレモニー実施のアナウンスを聞いて集まるレオスメンバーたち。赤い絨毯を敷いて、企業の方が登場するのを待っている。

渡邉:ほんの数分で終わるミニセレモニーですが、来訪された企業の社長は感激してくださいます。上場準備って本当に大変な一大プロジェクトなんです。上場企業として求められる水準に体制整備が必要だし、コンプライアンスもいっそう大事になります。いろんなハードルを超えた先に上場しますが、その後も定期的に決算を発表して監査法人のチェックを受ける…。たいていの人にとって、上場は人生に一度あるかないかの出来事です。

それなのに、私たち(機関投資家)が新規上場する会社に冷たい態度をとるのはいかがなものかと思います。一生懸命事業を成長させ、上場したいと説明しにきた経営者に「利益出てないよね」「ビジネスモデル古いね」などと言ってしまうと、当たり前ですがガッカリしますよね。投資家がそのような態度だと、上場企業が育たないと思います。「上場おめでとうございます」「頑張ってください」と歓迎することで、上場する人も増えそうじゃないですか。私たちは、上場企業を増やすのは素晴らしいことだと発信したいのです。それが、このセレモニーに込めた想いです。

2023年に上場することになったブルーイノベーション株式会社の方をお招きした時の様子。


企業と投資家が対話をする意義


――企業と投資家の関係を考えると、なんとなく投資家の立場が強そうなイメージがあります。

渡邉:株を買ってほしい企業と資金を出す投資家は、本来であれば対等な立場であるのが望ましいです。お互いの利害が一致すれば取引が成立するという関係に、優劣はありません。それなのに、ろくに買いもしないのに機関投資家が上から目線で評価を一方的に決めつけてしまうのはよくないと思います。

おこがましいかもしれませんが、私は企業取材やミーティングのときには、「何か相手にも得るものがあるといいな」「企業と投資家の双方に意味がある出会いであればいいな」と考えて臨んでいます。それは「建設的対話」ということで金融庁が奨励していることなんです。「投資家は上場企業の価値を高めるような対話をしていきなさい」ということで、企業の「壁打ち相手」になるのが大事なんです。株を売買するだけではなく、「なぜだめなのか」「どうしたらよくなるのか」を対話をするのも大切な仕事です。

私たちは国内外で多くの企業に会っているので、成功事例・良い事例をたくさん知っていて、それをほかの企業に共有することができます。そして、本質的な企業価値を見つめ直してもらうよう働きかけることができます。
日本の上場企業の「稼ぐ力」や長期的な価値を高めようという動きは、2014年に公表された「伊藤レポート」をきっかけに始まりました。具体的には「日本企業は自己資本利益率(ROE)を最低8%にしましょう」ということがその趣旨です。ROEは、企業の収益力を測る代表的な指標の一つです。

さらに、金融庁は機関投資家に対してスチュワードシップ・コードを公表し、企業と投資家が対話を通じて「稼ぐ力」を高めていくことを提唱しています。
2014年に金融庁の方針が出る以前から、レオスは企業と対話することを心掛けてきました。私たちが対話をすることで、企業に良い変化を促していけると素晴らしいですよね。企業の側からすれば、ありのままを伝えたうえで投資家と対話をして、自分たちを見つめ直す機会として使ってもらえばいいのではないでしょうか。

【伊藤レポート】
2014年、経済産業省の研究会「持続的成長への競争力とインセンティブ~企業と投資家の望ましい関係構築~」プロジェクトがまとめたレポートのこと。座長は伊藤邦雄氏、一橋大学大学院商学研究科 教授。日本企業の低収益性に警鐘を鳴らし、持続的成長に正面から取り組むため自己資本利益率(ROE)の改善に着目した。

【「責任ある機関投資家」の諸原則《日本版スチュワードシップ・コード》】
機関投資家が投資先の日本企業や事業環境を深く理解し、建設的な「目的を持った対話」を通じて企業価値の向上や持続的成長を促すことにより、顧客や受益者の中長期的な投資リターンの拡大を図る責任を示したもの。2014年に策定され、主旨に賛同する金融機関は300を超えています。

――最後になりますが、現在の課題などあれば教えてください。

渡邉:コロナ以降はオンラインでのミーティングが多くなったことです。それ以前は、企業とはオフィスで会うのが当たり前でしたが、どうしてもオンラインだと熱量とか真剣さというものをキャッチし辛いと感じています。画面越しでは感じることのできない非言語情報を得るには、リアルで会うことが役に立っていたのだと実感しました。そのため、対話の質を上げるための工夫が必要だという課題意識を持っています。

――投資家が企業との対話を大切にして「稼ぐ力」を伸ばしていくことは、株式市場を良くしていくことに繋がるのだとわかりました。こうした側面も投資家として重要な仕事だと、多くの方に知っていただけるよう発信していきたいです。

次回は外部の専門家として一緒に仕事をしてくださるマーケティングのプロ、上野 美香さんにスタートアップの資金調達やIRの仕事についてお話をうかがいます!引き続きご覧いただけると嬉しいです。

※当記事のコメント等は、掲載時点での個人の見解を示すものであり、市場動向や個別銘柄の将来の結果を保証するものではありません。ならびに、当社が運用する投資信託への組み入れ等をお約束するものではなく、また、金融商品等の売却・購入等の行為の推奨を目的とするものではありません。

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