新叡王誕生!特別協賛を務めるレオスメンバーが見た、第9期叡王戦の舞台裏
2024年6月20日、叡王戦 第9期五番勝負の第5局が山梨県甲府市「常磐ホテル」で行われました。第4局までの接戦を制したのは、挑戦者の伊藤匠七段です。将棋タイトル戦八冠を有する藤井聡太叡王が敗れるという歴史的な対局となりました。
レオス・キャピタルワークスは、「人の可能性を応援する」運用会社としてこれまでも人や企業の挑戦を応援する活動をしてきたこともあり、縁あって第6期から叡王戦の特別協賛として参加しています(代表の藤野は会社に将棋部を創設するほど大の将棋好き!)。
レオスメンバーは新叡王が誕生した今期の叡王戦をどのように観戦したのか、各地での対局で撮影した写真も交えながら振り返りの様子をお届けします!
レオスメンバーの紹介
挑戦者決定戦から第1局へ 藤井叡王の貫禄ある姿
2024年3月19日 将棋会館にて挑戦者決定戦が行なわれ、伊藤匠七段が勝利し叡王戦への挑戦権を手にしました。
赤池:藤井叡王と今回挑戦者になった伊藤七段について、皆さんはどんな印象を持っていましたか?
田村:藤井叡王はいつも通りといいますか、とても自然体で対局に臨まれているように見えました。タイトル戦の経験も豊富ですし、特別気負った感じはなさそうでした。
赤池:確かに藤井叡王はいつも落ち着いていますよね。
田村:それに対して伊藤七段は、第1局のときと第5局が終わった後で雰囲気が全然違うなと思ったんですよね。私は第5局も観戦したのでそう感じたのですが、第1局のときは緊張感や戦う気持ちがぐっと前に出ている様子を感じました。
深澤:私は仕事上何度か藤井叡王とお会いしたことがあるんですが、独特の存在感がありますよね。強いオーラがあるというよりは、何か普通の人とは違うところにいる感じがしています。将棋の世界にずっといる特別な存在というイメージです。上手く伝わりますかね…。
第2局 伊藤七段の勝利で叡王戦の空気が変わる
赤池:第2局は87手で藤井叡王が投了します。タイトル戦での連勝が16でストップしたことで、ニュースにもなりましたね。
沼尾:私は飛行機の時間があったので勝敗がつくまで会場にはいられなかったのですが、帰りの道中で伊藤七段が勝利したことを知って一緒にいたレオスメンバーと歓声を上げました!何度もタイトルを防衛している藤井叡王への挑戦ということもありプレッシャーのかかる対局だったと思いますが、「すごい、これからどうなるんだろう」というドキドキする気持ちでした。
深澤:前夜祭の会場で将棋連盟の方と近くの席になって、いろいろ話をしました。その方は一般企業から将棋連盟に転職したそうです。広告会社出身の方で、そうした分野から将棋界を盛り上げようとしているのだと知って、伝統的な将棋の世界を守りながらも新しい風を入れようとする様子が伝わってきましたよ。
沼尾:対局が始まると協賛企業の担当者たちは控室で観戦するんですが、主催の不二家さんをはじめ異業種の企業の方と一緒になるので、企業文化のようなものが垣間見えて面白かったです。
深澤:確かに、ちょっとしたことかもしれないけど服装や会話の雰囲気なんかにその企業の日常って現れるよね。
沼尾:そこで改めて、レオスってどんな会社かということを考えたりしました。私たちは会社を代表して叡王戦の観戦に行きましたが、過度にプレッシャーを感じることもなくしっかり対局を楽しもう、棋士のお二人を応援しようという空気があるような気がして、そういうところは良い文化だと思います。
第3局 藤井叡王に挑戦する棋士たち
水野:この対局では藤井叡王が先手番で得意の「角換わり」という戦型に進んだのですが、伊藤七段もこの戦型を研究していて互角の勝負に持ち込みました。途中藤井叡王有利の局面もありましたが、最終的には伊藤七段が逆転勝利しました。藤井叡王の得意戦型にも堂々と挑む伊藤七段の強い気持ちが印象的でした!
田村:今期の叡王戦が始まる前は、同学年どうしの対局ということで八冠のタイトルを持つ藤井叡王に伊藤七段がどう攻め込んでいくのか、注目が集まりましたね。そして、第3局を終えてタイトル戦で初めて藤井叡王が角番に追い込まれた…
水野:本当にすごいことですよね。第4局でもしかしたら新叡王が誕生するかもしれないとか、第5局までもつれ込むのかとか、期待が高まりました。
水野:佐々木八段のお話の中でとても印象的だったのが、藤井叡王の強固な牙城に挑もうとする意気込みを聞けたことです。「確かに藤井叡王は強いけど、だからほかの棋士が勝てないって思うのはおかしい」という話で。
赤池:それってどういう意味なんですか?
水野:「僕らの方が勉強時間は絶対に多いはずなのに、そこで勝てないって言い始めちゃったら、もうどうしようもない」って話してて。要は、年中全国を回ってタイトル戦に挑んでいる藤井叡王のことを考えたら、勉強する時間は自分たちの方が多いはずだと。それなのに勝てないなんて言うのはおかしいと。
赤池:藤井叡王がどんなに強いとしても「勝てないはずがない」という気持ちが棋士の人たちの闘志というか、エネルギーに繋がるのかもしれませんね!
第4局、第5局 激戦を見守る人たち
赤池:ついに第5局まで開催となって、現地に参加した私と田村さんは本当にドキドキしながら対局を見守っていました!
赤池:印象的だったのは、常磐ホテルさんと将棋連盟さんの信頼関係の深さが垣間見えたことです。
田村:そうですね。とくに第5局は、それまでの勝敗によっては開催されないケースも多いですから会場側としては開催が決まるまで待機している状態なんですよね。
赤池:開催が決まってから短期間で前夜祭を含めた準備をしなければならなくて、それって簡単なことではないと思うんです。ホテルとしては通常営業も行なっているでしょうし。長年の間、数々の対局を開催してきたホテルだからこその知恵や工夫で実現できることなのかなと感じました。
田村:将棋連盟スタッフの方も、ホテルに対する信頼感があってか運営をやりやすそうでしたよね。
赤池:三枝(さいぐさ)さん、どの会場でもテキパキと働いていらっしゃいましたけど、改めてプロフェッショナルな様子を拝見できました!
田村:三枝さんは将棋にも詳しいですし、ファンの間でも人気があるというか愛されていますよね。
赤池:けっこういろんな人から話かけられていましたよね(笑)
田村:私たち協賛企業にとっても、頼りになる存在です。レオスメンバーにも三枝さんのファンは多いですね!
赤池:水野さんは将棋ファンとして、伊藤七段の勝利をどのように感じましたか?
水野:「あ、本当に勝っちゃった!」という驚きの気持ちでした。もともと藤井叡王が誰かに敗れるとしたら叡王戦の可能性が高いとは言われていて、去年のタイトル戦の中でも叡王戦が一番追い詰められている印象がありました。でもまさか、公式戦で藤井叡王に11連敗していた伊藤七段がこのタイミングでタイトルを奪取するとは思わなかったです。
田村:伊藤七段は第5局のとき、入局してくるときの雰囲気や終わった後のインタビューの立ち振る舞いが、なんだかすごく成長したように感じました。偉そうな言い方になるかもしれませんが、大きな山を乗り越えた感じがあったんですよね。
水野:11連敗からの3勝は大きいですね。それがまたドラマチックでしたよね。
赤池:藤井叡王は、間違えた瞬間ってご本人が「しまった」という気持ちを表情や態度に表すので見ている側もドキドキします。将棋界全体がざわついたと思いますが、藤井叡王ご自身がどう感じているのかを考えると…想像するだけで緊張してしまいます。
田村:藤井叡王は将棋に勝つことにものすごくこだわっているけど、タイトル自体にはそれほど執着していないように見えますよね。
水野:そうですね。藤井叡王にとっては「強くなりたい」という気持ちが一番強いんじゃないかという気がします。
赤池:その気持ちが、対局中のスタイルに表れているのかもしれませんね。負けたら「悔しい」という感情が前面に出てくるのかな。
田村:藤井叡王が第5局で見せた粘り強さには驚きました。強い棋士には潔さがあるのではと勝手にイメージしていたけど、実際は勝つために全力を尽くしていたんですね。当たり前かもしれないけど、私はそのことに感銘を受けました。
水野:最終的に敗れたとしても、結果が出たらその将棋から学びを得て次に進むという姿勢も見られますよね。
赤池:対局後、深浦康市九段のXのポストを見かけたのですが、大盤解説の会場にお二人が入場する時に藤井さんが新叡王になった伊藤さんに「先に入られてください」と声をかけていたそうです。対局相手への敬意の気持ちが表れていると思いますし、藤井さんの人間性の深さを感じたエピソードでした。
来期への期待が高まる中、スポンサーとして考えること
赤池:レオスは来期も叡王戦を応援します。第10期の段位別予選の対戦表も公開されましたし、誰が挑戦者になるか楽しみです!
沼尾:私は今回初めて対局を観戦しました。叡王戦に行く前は、対局を観戦しに行ったレオスの人たちがすごく興奮している様子を「なんでこんなに熱くなって話すんだろう?」と不思議に感じていました。
でも、実際に行ってみてその理由が分かりました。大盤解説に集まったファンの皆さんの熱意をすぐ近くで感じたり、将棋連盟の三枝さんなど裏で動いているたくさんの人たちの存在を知ることができたり、対局に臨む棋士のお二人をはじめほかに幾つもの物語が並行して進んでいることを実感しました。叡王戦いいな、私もこの熱量を伝播させていくような役割が果たせたらなと思うようになりました!
田村:本戦の開催地やホテルなども含めて、将棋って年齢や地域に関係なく盛り上がるコンテンツだと思います。地域の色んな場所を活性化させる起爆剤になるんじゃないかなと感じていて、スポンサーとして将棋を応援することはもちろん、レオスの本業である投資を広めたり地域を盛り上げたりすることができたらいいなと思っています。そうした想いがあって、今回の叡王戦副賞には第5局の開催地である山梨県にゆかりのある伝統工芸品を選びました。
水野:私は前夜祭で協賛企業以外のお客様がいる状況は初めてだったんですが、そこで学びがありました。
将棋はかつて、どちらかというと「おじさん」中心の文化だというイメージがありました。でも前夜祭に来たのは男性だけでなく女性も多くて、年齢も幅広く若い方も多かった。将棋がこれだけ多様な人を集められるには何かヒントがあるんじゃないかと。
投資の世界も似たようなところがあって、昔はとくに「おじさん」中心文化だったと思います。将棋の盛り上がりにヒントをもらい投資の世界にも取り入れることができれば、さらにいろんな層に広がっていくのではないかと感じました。
深澤:絶対王者と思われていた藤井叡王に挑戦する人がいて、接戦を繰り広げる様子を間近で見ることができました。藤井叡王も感情を表して必死に戦っていた。本当に熱いものを感じました。挑戦する姿勢って美しいな、応援したいなと改めて感じたし、僕らももっと挑戦しなければと背中を押されました。
水野さんのお話に通じるんですが、レオスは投資信託を通して社会に役立つモノやサービス、企業を応援したいと事業を行なっています。いわば応援するプロダクトを持っているということですが、「挑戦すること」「挑戦を応援すること」など、どうやって投資に絡めて伝えていくか考えさせられました。
赤池:皆さん今日はありがとうございました。叡王戦の思い出が蘇ってきて、楽しい座談会でした!来期を楽しみに、私たちにできることを考えていきましょう。