北海道民の生活を支える 縁の下のチカラ持ち ひふみの社会科見学・北海道ガス
当たり前と安心を提供する基地へ
わたしたちの生活に欠かせない生活インフラである「ガス」や「電気」。
スイッチを入れると当たり前のように使うことができて、止まることが許されないこのサービスはどんな仕組みで提供されているんだろう?
また、電力自由化から4年、ガス自由化から3年になる今、わたしたちの暮らしを支えるエネルギーについて資源や製造、供給工程を学び、もっと意思を持って選択してもいいのかもしれない。そんな思いを持ちつつ、北海道石狩市にある北海道ガスさんの石狩LNG基地を訪問する機会をいただきました。
北海道札幌市に本社を構える北海道ガス株式会社(以下、北ガス)は1911年(明治44年)に設立された、100年以上続く地域に根ざした老舗企業です。
積雪寒冷地でエネルギー消費の多い北海道。エネルギー環境問題に加え、少子高齢化や人口減少による社会構造の変化と大きな課題を抱えています。北ガスは、こうした地域特性を考え「持続可能な社会を支える北海道に最適なエネルギー社会を創造していこう」と、ガス、電気、熱、さらには省エネを組み合わせて、総合エネルギーサービス事業を展開しています。
今回の「ひふみの社会科見学」では、創業から提供する「ガス」を製造するLNG(液化天然ガス)の基地を訪問します。
(2019年8月9日、北海道石狩市 北海道ガス石狩LNG基地 レポーター:マーケティング・広報部 白水美樹)
「ひふみの社会科見学」とは?
「ひふみの社会科見学」とは、投資信託「ひふみ投信」の残高をお持ちの個人投資家の方が、レオス・キャピタルワークスのメンバーと一緒に、実際に企業へ訪問し、現場の空気や働く人、商品、サービスなどに触れ、経済や投資、企業を身近に感じていただく見学会のことです。
“投資する”ということは単にお金を出して金銭的なリターンを得ることだけではありません。投資の本質とは、企業活動とそこに関わる人々を応援し、経済全体へ貢献していくこと。訪問先の企業で働く方の思いや企業の持つ技術力などに触れながら、投資という行動がどのような循環で社会に貢献していくのか、その一端を体感いただくことが目的です。
バスで石狩LNG基地へ
篠路駅にて集合し、バスで石狩LNG基地へ移動します。
今回は夏休みのお子様向け企画でもあるので、16名の大人に加え9名のお子様にもご参加いただきました。
篠路駅から石狩湾を目指してバスで約20分、海に近づくにつれ住宅街から見える景色が変わっていきます。風力発電で使われている巨大風車や、タンクや建屋と日ごろ見慣れないモノが現れました。
ここ石狩湾新港は、札幌圏の生活を支える港湾運送事業を担う港として発展してきましたが、最近は北ガスさんのLNG火力発電所をはじめ、コスモエコパワーさんの風力発電、北海道電力さんの再生可能エネルギー発電所など、エネルギー集積地としての新たな役割を期待されている地です。有名なロックフェスティバル「ライジングサン」の会場にもなっているので、ご存知の方も多いかもしれませんね。
バスの到着後、取締役常務執行役員の近藤清隆様にご挨拶いただきました。
昨年9月に起きた胆振東部地震の際はここ石狩も震度5弱の大きな揺れに見舞われたそうです。その後に起きた北海道全域の停電、「ブラックアウト」は社会問題にもなり、TVや新聞などでも広く報じられました。そのような中、自家用発電を稼動してガスを提供し続けたのが北ガスさんです。また、当時試運転中の新しい発電所も稼動しながら電力も供給したそうです。このような状況を体験して改めて「安心・安全・安定供給」に責任を持って行っていきたいと力強くおっしゃっていました。
また、震災時の北ガスさんの取り組みが多くの道民の力になったということで、経済産業省より「平成30年北海道胆振東部地震の貢献企業」として感謝状を授与なさっていることも伺いました。自ら大々的に公表することを行なわない謙虚な北ガスさん。意外と知られていない事実に参加者のみなさまも大きくうなずきながらお話しを聞いていました。
続いて、寺岡さんより石狩LNG基地と天然ガスについて説明を行なっていただきました。
今や電気やガスといったエネルギーはわたしたちの日々の生活に欠かすことができない存在ですが、そして日本はそのほとんどを海外からの輸入に頼っているのだそうです。
一方で、エネルギーの使いすぎによる地球環境の変化が問題となっています。今、エネルギーに求められることは、環境にやさしく、安定して供給できることです。その答えのひとつが天然ガス。海外からLNGを受け入れ、生成して各都市に安定供給する北海道で唯一の大型エネルギー基地がここ石狩LNG基地です。
巨大なLNG設備に圧倒!
石狩LNG基地の概要と天然ガスについて予習したあとは、いよいよ構内の見学スタートです。札幌ドーム5つ(24万平方メートル)分の敷地内をバスで回ります。広い敷地内のパトロールは自転車や車も使うのだそうです。
構内は安全確保のため、ヘルメット着用です(左はパートナー営業部の西澤、右が私です)。
地下数千メートルのガス田からとれる天然ガスは、メタンを主成分とする無職無臭の気体です。燃やしたときに発生する二酸化炭素の量は石炭や石油と比較して3割から4割少なく、窒素酸化物も少ないので化石燃料の中でもっとも環境にやさしいといわれています。
石油のように、中東だけに頼らず世界各地から輸入できることもメリットなのですが、北ガスさんはサハリンやオーストラリアから輸入しています。全長300メートルと札幌ドームよりも長い大型のLNGタンカーがここに着岸する姿は圧巻なのだそうです。見学の明後日がちょうどタンカーが来る日とのこと。この日は大きなローディング・アーム(流体荷役装置)4機を見ることができました。
天然ガスは無色無臭で、マイナス162度まで冷やすと液化します。もともと気体のガスを液体にすると体積が600分の1になるそうで、その状態でタンカーに積まれ、運ばれてきます。そして、このローディング・アームから配管を通じて陸にあるタンクへLNGを送っています。
タンクは、マイナス162度一定に保つため内部は特殊な二重構造になっています。貯蔵したLNGを温水であたためることで気化させます。そしてプロパンガスをわずかに混ぜることで熱量を一定に調整し、気化した状態でガス独特のにおいをつけ、都市ガスを完成させます。
巨大な建物や設備に、バスの中から見る子供たちも驚きの声があがります。
そして、できあがったガスはこの配管が地下のパイプラインに繋がっており、札幌や小樽、千歳市内に送られていきます。そのほかの街には小型タンカーやLNGローリング車を使って運ばれています。
この敷地内にある北ガス石狩発電所では、LNGを燃料に一般家庭20万件分の電力を作っているのだとか。
発電所の多くは電気を作るときの熱を捨てていますが、北ガスさんでは、熱を捨てずにLNGを気化する際に使い、エネルギーを無駄に使わない工程になっているそうです。
電気を作るときに出る爆音を聞いてびっくりする子どもたち。
そして最後は管理棟のコントロールセンターへ。
ここでは基地の設備を集中管理し、LNGの受け入れから道内各地への出荷、そして都市ガスの製造、品質管理、送出、石狩発電所の運転管理までの制御を24時間365日体制で管理しています。日々の送出量予測、製造計画を行なうなど、需要変動に適切に対応しながら、確実で効率的なコントロールを行なうことで天然ガスの安定供給を実現しています。
管理するパネルの多さに子どもたちも思わずカメラのシャッターを切っていました。
子どもたちのお楽しみ 冷熱実験!とPRセンター
構内の見学を終えたら、子どもたちのお楽しみ冷熱実験の時間です。
LNGとは気体の天然ガスを-162℃に冷却し液体にしたものですが、日ごろ見ることができない極低温で、どんな現象が起こるのかを、液体窒素を使った実験で体験してみます。
まずはゴムボールを冷却してみます。
カチカチに固まったボールを落とすとガラスが割れるガッシャーンという音が!
マイナス162度になったゴムのボールはガラスのように硬くなって粉々になりました。
続いて、お花を冷却してみます。
柔らかいカーネーションの花びらが、パリパリと落ちていきます。子どもはもちろん、大人からも「おーっ!」と歓声があがりました。
夏休みの宿題のためにメモを一生懸命取る姿も!
そして、最後はPRセンターに移動してエネルギーと天然ガスのことを楽しく復習します。
展示パネルで理解するだけでなく、一人ひとりに配られたタブレットに出るクイズに答えることによって、今暮らしている社会のエネルギーと環境問題について、そして省エネについてより深く考えるきっかけになりました。
最後に経理部長西村さんよりご挨拶がありました。
西村様:
「当社は今後、多様な事業・新たな事業を通して、安心・安全はもちろんのこと、北海道の最適なエネルギー社会を創造することを目指しています。ここ石狩LNG基地はエネルギーのこと、環境問題、当社の取組について最新の情報をお伝えできる場所だと考えております。ぜひまた遊びに来てください!」
実際に社員の方と接して、ガスの生成や供給の現場を目の当たりにして「あらためて北ガスさんのファンになった」「素晴らしい企業が身近にあって嬉しい」というお声をお客様からいただきました。「近所に住んでいるのにどうして気がつかなかったんだろう」とも。
子どもたちも生き生きと目を輝かせて「たのしかった」「また行きたい」といってくれました。
北ガスさんは、もはやガス会社ではないなと思います。
ガス事業に加え、電力そして省エネのインフラまで提供し、お客様に最適な暮らしをお届けする会社なんだな、というのが現場を見学して感じたことです。 北海道民の生活を支え、お客様とともに新しいエネルギー社会を創造していって欲しいと強く願います。
ご参加いただきました皆様、そして温かくおもてなしいただいた北海道ガスの皆様、どうもありがとうございました!
今後も、ひふみ投信では、定期的に社会科見学を行なっていきます。ぜひ、皆様のご参加もお待ちしております!(社会科見学はひふみ投信のお客様限定のイベントになります)
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