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プチ天職を集めよう!資産も仕事も分散して丈夫な暮らしを積み上げる

「投資」「お金」のことを皆様と一緒に“研究”していくひふみラボnote。

今回は、バンドマンで投資家、そして『くそつまらない未来を変えられるかもしれない投資の話』の著者であるヤマザキOKコンピュータさん(ヤマコンさん)に社会問題や将来の不安と戦いながら楽しく生きていくための方法について語っていただきます!

初回は、ヤマコンさんが実践している「分散投資」について。
そしてご自身が考える「ゆたかさ」について教えていただきました。

ヤマコンさん著書はこちら↓

自由で身軽な暮らしを選んでいる

限られた人生を楽しむために何をしていくべきなのか。
大切なことというのは、自分で考えなくちゃいけないことばかりだ。

30歳の夏に会社を辞めてから、主な収入が文章の売上と投資の利益になった。
ほかにも、経営する喫茶店の売上だったり、グラフィックデザインやウェブデザイン、トークの依頼など、様々な理由でお金をもらうことがあるけど、どれも無理のないペースで取り組んでいて、働いているというよりは毎日遊んでいるつもりで生きている。

いまは沖縄市という街で1LDKの部屋を借りて、ひとり暮らし中。ローンもないし車もない。東京を離れて身軽になりたかったから、そういう生活を選んでいる。地方移住というよりは、以前から無拠点生活みたいな暮らしをしていたので、気分はその延長にある。

沖縄市には元々友人がたくさんいて、特に交流の深い数人がNEO POGOTOWN(ネオポゴタウン)というオルタナティブスペースを運営していた。
古着や雑貨を売っているお店、イベントができる音楽スタジオ、予約制のタトゥースタジオ、刺繍作家のアトリエなどが混在する複合施設である。

2020年から私もNEO POGOTOWNの運営に関わるようになり、小さな喫茶店を持つことになった。喫茶 浪浪(ろうろう)という名前を付けた。

浪浪は、週に4日だけオープンする。
お店の定休日やお客のいない隙に文章を書いていて、執筆量も質も特に落ちてはいない。
週に3日も休みがあると、料理や散歩を楽しめるくらいの余裕がある。逆に夜更かしして執筆する日があっても何とかなる。

お酒もタバコもやらないし、うちの家賃は3万2000円。お金はあんまり使わないほうなので、無理してたくさん働くよりは、健康や遊びや未来の楽しみに気を向けていきたい。

巷では、投資はギャンブルだと思われている

仕事を聞かれたら個人投資家と名乗ったりするが、投資に関してはほとんど独学である。金融機関で働いていたわけでもなければ、親から英才教育を受けたわけでもない。

音楽スタジオやライブハウスでバイトしたのち、木に登ってイルミネーションを巻きつけるバイト、封筒にくまちゃんのぬいぐるみを詰め込んで発送するバイトなどを経て、20代後半で『サバイブ』というお金のウェブメディアの立ち上げに関わった。
このあたりから、お金の記事を書くようになり、投資家という肩書きを使うようになる。

投資家というと高級スーツにゴテゴテの腕時計みたいな人を想像するかもしれないけど、私はパンクロックと古道具が大好きで、うちのタンスには80'sのボロいバンドTシャツとほこりをかぶった喪服しかない。
下駄箱にはドクターマーチンとサンダルが2足ずつ。眉毛は定期的に脱色していて金色だし、自分で散髪しているせいか頭の形はいつも変だ。冠婚葬祭でもない限りは、いつだってボロボロの服で活動している。

投資家って言ったら笑われることもあるけど、投資始めてから10年経ったし、その間に結構勉強したし、色々な金融商品に手を出したし、記事もたくさん書いて、本も出した。それなりに経験も積んできたし、ぼちぼち堂々とやっていきたい。

とはいえ、家族には私が「投資家」であるという話はまだしていない。
適当に、「コンピュータ関係の仕事をしている」と言ってある。
主な理由は恥ずかしいからだけど、一応、心配をかけないためでもある。

世間では、まだまだ投資はギャンブルだと思われている。ずる賢い人や、人生の一発逆転を狙う人がやるようなイメージらしい。

私が投資を通じてやりたいのは、以下の2つ。

・お金の持ち方を自分で選んでコントロールしていくこと
・自分が安心して生きていける資産バランスを作ること

投資は、以上の目的を果たすための手段であって「不労所得で食っていく」とか、「化ける株で大儲け」みたいなことは考えていない。

それよりも、自分の目指す目標を明確にして、一発逆転に期待しなくても良いような生活をコツコツ積み上げて、丈夫な生活を作り上げたいと考えている。

逆転されないための投資

私の投資スタイルは、国内外の上場株式と投資信託を中心とした分散長期型。

投資家としてはかなり堅い部類に入ると思う。資産の100%を銀行預金にしているよりは、よっぽど安全だと考えている。

一般的に、銀行預金は安全で堅実な選択肢とされる。
通貨の価値が変わらないことを前提に進む話もたくさんあるが、実際には通貨の価値は日々揺れ動き続けていて、それなりのリスクも抱えている。具体的に言えば、現金はインフレリスクに対して極端に弱い。

ここ1年くらい、世界中でお金の流れが大きく変わる事態が起きていて、各国の政府と中央銀行が結託して、金融緩和を続けている。つまり、現金を供給しまくっている状態にある。このような異常事態に関連して、日経平均トータルリターンインデックスは31年ぶりの史上最高値をマーク。アメリカのダウ平均株価も史上最高値で、これを書いている時点では、かなり大規模なバブルが起きている。

しかし、指数の調子が良いからといって、給料を上げてもらえるわけでもない。
また、現金を供給しまくっているということは、今後大きなインフレが来る可能性も出てくる。普通預金やタンス預金は今まさに危機に晒されているように思う。

先行きは不透明である。未来を予測するのは難しい。
このような状況下では、現金にしろ、不動産にしろ、株式にしろ、何か1つに頼り切った資産は目に見えて脆い。
タンスに全額入れておくことすら、博打のように思える。

その点、十分に分散された資産ならば、ある程度の耐久性が見込めると考えている。
各方面に分散する分、爆上がりしてひとり勝ちというようなストーリーはないが、大暴落の可能性も考えにくい。
上がる部分や下がる部分が補い合って、それなりの価値を保ってくれるのではないかと期待している。

上述の通り、私は一発逆転の人生は望んでいないので、逆にコツコツ積み上げたものを一発でひっくり返されないために、今後も分散投資を利用していく。

分散で資産も生活も丈夫になる

初めて金融商品を買ったのは22歳のときで、ちょうどリーマンショック明けだった。それからここまでの10年間で、東日本大震災、日銀の異次元緩和、コロナショックと、未曾有の事態ばかりが起きている。
経験も勉強もまだまだ足りないと感じることが多く、経済情勢がどのように転ぶのか、確かなことは全く見えてこないけど、できるだけ丈夫な暮らしを築き上げて、毎日楽しくやっていきたい。

その上で、投資信託は資産の柱となり得る存在だ。
一般的にインデックスファンドは分散性が高くてコストが安いし、アクティブファンドも優秀なファンドマネージャーが付いている場合は新しい時代への臨機応変な対応が期待できる。
私の資産は半分以上が海外株系の投資信託で、それなりに丈夫な設計になっている。

ただし、丈夫な暮らしというのは資産だけで作れるものではない。
良好な人間関係や心身の健康、労働や生活の環境なども大切な要素として無視できない。

冒頭で解説した通り、私の収入源はいくつもの方面に分散されている。

このような社会情勢にあたり、講演の機会やイベント関係の依頼はゼロになったし、喫茶の集客も難しい。

それでも20年6月に『くそつまらない未来を変えられるかもしれない投資の話』という本を出版してからコラムや取材の依頼が増えたりして、本の印税と合わせると生活に困らない程度の収入は残る。色々やってて良かった。
周囲のみんなにも大感謝である。

一般的に、何かひとつのことで食べていけないと中途半端というレッテルをはられたり、社会的信用を得るのが難しくなったりするけど、実際は丈夫な生活を作る上で、収入源の分散はかなり堅い選択肢になると感じている。

もうひとつ、「飽きにくい」というのも大きなメリットだ。

一生飽きずに取り組める仕事を天職と呼ぶのだろうけど、ちょっとハードルが高すぎる。そんなものを現役のうちに見つけられる人はごく一部だ。かなりの強運持ちか、社会適合の強者に違いない。

でも、「週に1〜2回なら一生楽しくやっていける仕事」というのは、案外たくさんあるように思える。
こういったプチ天職をいくつか集めることができたら、24時間365日遊んで暮らすのも夢じゃない。

例えば私の場合、最近は喫茶店の経営にハマっていて、毎週楽しく取り組んでいる。

残りの全人生を喫茶道に捧げるほどの覚悟はなくて、週に4日、それも午後しか開けてないわけだけど、自分たちで作ったスペースが誰かの居場所になっていくのは嬉しいし、まだ会ったことのない面白い人と出会う機会にもなっていて、今後の自分の人生が豊かになっていく実感もある。

このペースなら文筆業や証券投資、アートやバンドも並行して続けられるし、まだ新しいことを始めるだけの余力がある。

個人差があるとは思うけど、私の場合は何をやるにしても肩の力を抜いたほうが継続しやすい。並行して色々やることで総合的な生産量も上がるし、要素が組み合わさってオリジナリティも生まれてくる。
他者の活躍を見ても嫉妬することなく、心から祝福できて、精神的にも楽だ。

とにかく思い付いたら何でも手を出してきたけど、悪かったことはあんまりない。

感覚は人それぞれだから無理してでも色々な仕事を並行しろとは言わないけど、新しい趣味を始めたり、行きつけの店を増やしてみたり、住めそうな国や街を探してみたり、自分の居場所を分散していくことでも心は十分に軽くなる。

何かに全力で打ち込んでいる人や、1つのことを極めた人は素敵だし憧れもするけど、成功の形は1種類ではない。
また、お金を多く集めることだけが豊かさではないということも忘れないようにしたい。
これからも、色々な角度からゆたかさを集めていこうと思う。

プロフィール:

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ヤマザキOKコンピュータ
1988年生まれの投資家・文筆家・ウェブメディア運営者。
バンド活動を続けながらライブハウスで働いた経験などを元に、パンクの視点からお金を考える。お金に関するウェブメディア『サバイブ』や、オルタナティブスペース『NEO POGOTOWN』の運営に携わる。
著書『くそつまらない未来を変えられるかもしれない投資の話』(タバブックス)
サバイブ:https://www.survive-m.com/
Twitter:https://twitter.com/0kcpu

(次回は2021年4月26日公開予定)

※当記事のコメントは、個人の見解であり、市場動向や個別銘柄の将来の結果をお約束するものではありません。ならびに、金融商品等の売却・購入等の行為の推奨を目的とするものではありません。