「無駄なもの」が自分を作っているかもしれない
こんにちは、ひふみラボ編集部赤池です。
突然ですが、皆さんは誰かに「それって無駄じゃない?」と言われた経験はありますか?
小学生の時に漫画を読んでいたら親に、
ぼーっとテレビを見ていたら家族に、
買い物に行って雑貨を見ていたら恋人に。
(ちなみに私はたくさんありました(笑))
さて、「無駄」は世間が言うほど悪者なのでしょうか?
「無駄」という言葉を辞書で引いてみると、
“役に立たないこと。それをしただけのかいがないこと。また、そのさま。無益。”
と、ネガティブなワードが並びます。
しかし、あの時に読んでいた漫画も、テレビを見ている時間も、買った雑貨も、自分にとっては必要で大事なモノ・時間で自分を満たしてくれるものなんだ、ということもあるのではないでしょうか。
そこで、今回は「無駄」について考えてみます。
「無駄づくり」クリエイターの謎
コンテンツクリエイター・文筆家の藤原麻里菜さんはあえて無駄なものをつくる「無駄づくり」で注目を集めています。
どれも見ていて単純に笑える作品なのですが、「これはいつ使うんだろうw」という感想を禁じえません(笑)
世の中には開発した企業さんが「効率」や「便利さ」を追求してくれた商品がたくさんあります。藤原さんの作品は200以上あるとのことですが、そのどれもがそういった概念の真逆に位置しているようです。
そんな藤原麻里菜さんにぜひ直接お話を聞いてみたい!と思い立ち、オンラインイベント「ひふみフォーラム2022」にご出演いただけないかとお願いしたところ、なんと即答でご快諾いただきました。鼎談のゲストとして藤原麻里菜さんをお迎えします!!
「ひふみフォーラム」は、レオスが運用する投資信託「ひふみシリーズ」のブランドコンセプト「次のゆたかさの、まんなかへ」について、「ゆたかさって何だろう?」というのを多彩なゲストをお招きして当社メンバー・参加者の方々と一緒に学びながら深めたいと思い開催しているイベントです。
藤原さんをお招きしたイベント詳細はこちら↓
次のゆたかさを考えるイベントにどうして私たちが藤原さんをお招きしたかったのか、「無駄づくり」の何に惹かれたのか、「ひふみフォーラム」の企画を担当するマーケティング部の赤池と沼尾の会話形式をまじえながらお伝えいたします。
自称「無駄収集家」に刺さった無駄づくり
赤池:
マーケティングチームでひふみフォーラムの企画始動時にやった「100のアイディア会」というワークショップで、沼尾さんが藤原さんをお呼びしたいと提案してくれたよね。どうして藤原さんを知ったの?
沼尾:
まず、自分の話になってしまうのですが、私自身「無駄なもの収集家」でして…。
例えば、このネコ型の青いロボット(ドラえもん)のテトリスなんですけど…。
赤池:
お顔があまり本物ぽくないけど…(笑)
沼尾:
高円寺の雑貨屋さんで1000円で購入したんですけど、私はこの作画崩壊しているネコ型の青いロボット(ドラえもん)にすごい惹かれて。
あとは、ストームグラスといって気圧によって模様が変わるスノードームのようなもので昔、航海士の方たちがこれで天気を予測していたそうです。今はデジタルで天気予報を見られるので、いらないと思うんですがずっと欲しくて…。
あと、シールを異常に集めています(笑)例えば「福」って書いてあるシールとか…景気が良い感じがして好きなんですよ。
元々、他の人から見たら「何に使うんだろう?」というものを集めるのが好きでした。日常にはそんなに必要がない、無駄だと思われているようなものを収集することが私の精神安定剤のようなものです。
(左上からアジアのあらゆるサイトのリンクが記載されてる冊子、ネコ型の青いロボットの電池式テトリス、高円寺で購入したキラキラシール、ストームグラス(左下))
赤池:
私はどれも買わないだろうなー(笑)そういうもののどこに惹かれるの?
沼尾:
そうですね。こういうものを私は自分で作ることはできないと思います。でも、ものは作ってる人がいるから私の手元にきてくれます。
人を幸せな気持ちにできるものを作品として表現している方はとてもうらやましいと思いました。そういう気持ちがあって、たまたまテレビで「無駄づくり」をしている藤原さんのことを知って、「無駄」なものを集めて満たされている自分と「ものづくり」をしている方への尊敬がリンクしていたので興味を持ちました。
「無駄」=それぞれのゆたかさ?
沼尾:
赤池さんは買うもので無駄だと言われるものはありますか?
赤池:
ものを集めるという点だと、去年の秋頃からキャンプをするようになって、そこから道具を一気に買い始めたかな。最初は何が必要なのかわからないから人に聞いたり、Instagramでキャンパーのアカウントを見たりしてテントとか椅子とか最低限のものを揃えたんだよね。そこからはあってもなくてもいいある意味「オプション」だから、自分が欲しいと思ったりかわいいと思うものをたくさん買ってる。もしかしたら他のキャンパーから見たら無駄なものもあるかもね。キャンプ場に行くと、キャンパーによって持ってるもの違うからみんなのこだわりの「無駄」が見える。
沼尾:
キャンパーたちによって必要なものが違うっていうのもまた面白いですよね。
赤池:
ものだけじゃなくて、過ごし方が違うのが面白いよ。私は、キャンプは焚火をするものだと思っていたんだけど、行ってみると焚火をしない人たちもいるし、テントに小さいライトとかカフェにあるような看板でキャンプサイト全体を飾って楽しんでいたりね。それを見て、改めてものごとの感じ方ってそれぞれだなって思った。
あとはお酒かな。毎晩晩酌してるから、お酒を飲まない人にとっては無駄に見えるかもね。でもお酒を飲みながら映画を見るのが至福だから体調を崩さない限り絶対やめない!(笑)
沼尾:
ステイホームになって特に、音楽とかYouTubeとか映画とか、生きるために絶対に必要ではないけど日常で触れているものに癒されてきたなと思います。私にとっては音楽とか集めてきたものなんですが、人によってそれぞれ自分をゆたかにしてくれるものがありますよね。
赤池:
沼尾さんは自分のことを「無駄収集家」だというけど、「人に理解されないけど自分には必要なもの」を無駄と呼ぶなら、無駄って誰にでもあるものなんだろうね。それってコロナ禍のような社会の変化だけじゃなくて、自分の価値観によって解像度が変わると「無駄」も変わってきそうだね。
必要かそうでないか以外の軸
赤池:
藤原さんのインタビュー記事を読んだ時に「白か黒じゃなくてグレーゾーンがあっていいと思う」というようなことをおっしゃっていたのがすごく印象に残ってる。
「必要か不要か」「完璧かそれ以外か」みたいな0か1で判断しなきゃいけないことが苦しいなと思っていたから、その言葉が忘れられなくて、藤原さんのお話を聞いてみたいと思った。
沼尾:
今って、「みんなにとって好ましいかそうでないか」で表現してしまう時代になりつつあると感じることがあります。私自身も最近デザインに携わるようになって、勝手に「いるかいらないか」でアイデアを選択してしまうことがあるので、自分の中のグレーゾーンと思うものも提案していくのもアリかなと思いました。
赤池:
必要かどうかの議論になったら必要じゃないけど、軸ってそれだけじゃなくて、買うことによって自分の気分がいいとか、感じ方に色々な角度があるから、他人の「無駄」を許容するというか…。何に時間とお金を使うかって、自分には理解できないと「それって無駄なんじゃない?」って思うのかなって。私はドラえもんのテトリスは買わないけど、それで沼尾さんが楽しいんだったら無駄じゃないなと思う。
沼尾:
ありがとうございます(笑)
それこそ、美術品は使うことが目的じゃないから、「使えるか使わないか」でいったら正直いらないじゃないですか。でも美術品は人を精神的にゆたかにするもので、どんどん価値がついていってるものなので。昔から意外と人ってそういうものにお金をかけてるというか。美術で得られるゆたかさを求めてる人が多いから価値があがってると思うんですよね。
赤池:
時間的なものだったり、空間的なものだったりグレーゾーン=余白をつくっておくと心にも余白ができてくるなって感じたから、「無駄」もそれに近いのかな。
マーケティング部のメンバーとも「効率化」「生産性」というワードに縛られるのが苦しいよねっていう話をワークショップでもしていたし、そことは真逆の作品をつくる藤原さんに「無駄」って一体なんなのだろうっていうのを聞くことで、効率化、合理化、生産性みたいなところで縛られている人がグレーな余白もアリだなっていうのも感じていただきたいな。
藤原麻里菜さんにきいてみたいこと
赤池:
ここまで私たちなりの無駄の解釈について話してきたけど、藤原さんに聞いてみたいこととしては、率直に「どうして無駄づくりをしているのか」は気になる!なんで自分で「無駄」って言うんだろう?
沼尾:
私は、なんで無駄づくりにしっくりきたかが気になりますね。前例がないと思うんですよ。
私なら前例がないと不安になると思います。誰もやったことないことをやることに対して不安はなかったのか聞きたいです。また、2013年から無駄づくりをされているので継続しているってすごいなと。継続する秘訣も気になります。
赤池:
当日藤原さんと鼎談するパートナー営業部の内藤さんが言っていたけど「好きなことを見つける方法」も気になるよね。今は「個を大切にする」って言われるけど、自分が好きなこと、それでお金を稼ぐことが直結するのは難しいなと。どうやったら見つかるんだろう?「無駄」にヒントがあるのかな?
沼尾:
当日が楽しみですね!
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改めて、「無駄づくり」の藤原麻里菜さんにご登壇いただく「ひふみフォーラム2022」は、2022年2月26日(土)13:00~YouTube Liveにて限定公開です!
お申込みは前日2月25日19:00まで!
皆さまのご参加を心よりお待ちしております!