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【イベントレポート】1社に1台の人工衛星の時代へ!民間ロケットの挑戦は続く(後編)

こんにちは。ひふみラボ編集部です。

日本で初めて民間ロケットを宇宙に到達させたインターステラテクノロジズ株式会社(以下、インターステラ社)社長、稲川貴大さんをお迎えした6月4日のトークショー後編。今回は宇宙ビジネスの可能性を中心にレポートします。

レポーターは引き続きマーケティング・広報部の大酒が担当します。

前編はこちら

ハンバーグを宇宙に運んだわけ

今回の観測ロケット「宇宙品質にシフトMOMO3号機」ですが、実は機体の中に「真空パックしたハンバーグ」が搭載されていたことをご存じでしょうか。ハンバーグがロケットで宇宙空間に到達したのです。神奈川県相模原市の食品会社のハンバーグとのことですが、テレビで話題になり、大きな宣伝効果がありました。

稲川さん:
「これまで、ロケットは国が威信をかけて大きなお金を出して開発してきました。当然、ハンバーグを乗せるなどという発想はありません。しかし、民間ロケットだとこういうことができる。『宇宙に行ったハンバーグ』というだけで話題になるし、ロマンがある。企業のコマーシャルだけでなく、まちおこしもできる。民間ならではのビジネスチャンスです

会場からは「宇宙葬もできるのでは」といったアイデアが飛び出し、稲川さんは「実はそれは考えている」と明かしていました。

もちろん、民間ロケットのビジネスの本質はハンバーグではありません。「ロケット事業って、輸送業なんですよ」と稲川さん。「モノを宇宙に運ぶ、シンプルなビジネスモデル」とのことです。小型の人工衛星をロケットに乗せて宇宙に輸送するビジネスなどの潜在的マーケットは非常に大きいとのことです。

1社に1台の人工衛星の時代に?

ロケットのビジネスチャンスに関しては藤野も深く同意。稲川さんと熱いトークが交わされました。

藤野:
「民間での通信衛星の使い方としては、例えば宇宙から石油備蓄タンクの蓋の様子を観察する、とか。備蓄が少なくなると、石油に浮いた蓋がタンクの下の方に落ち込んで、蓋にタンクの影ができる。それで石油価格の動向をいち早くつかめるわけです。ウォルマートも、上空からいろんなお店の駐車場の様子を観察して、出店の判断材料にしているようです」

稲川さん:
「通信衛星は、技術開発が進んで人が抱えられるような大きさにまで小型化しています。ロケットにたくさん積んで宇宙に輸送するようになると思います。だから今回成功して、みんな手のひらを返したようになりました(笑)。この前まで懐疑的だった人が『いやー、成功すると思っていましたよ!』なんて。米国は1990年代から、ロケット開発の一部を民間に発注するなど、宇宙産業を育ててきたのですが、日本でそれをやり始めたのは最近です」

藤野:
「そのうち、1社に1台の人工衛星みたいな時代が来てもおかしくありません。アマゾン・ドット・コムのジェフ・ベゾスさんが、なぜブルー・オリジンを設立して宇宙開発をしているのか、分かるような気がします。まるでインターネット内で消費者のデータを収集するように、人工衛星で実際の人の動きのデータを収集できるようになる」

実はインターステラ社のロケットは、ブルー・オリジンが開発しているものと同じタイプで、ビジネス展開しやすいロケットだそうです。そして、このタイプのロケット打ち上げに成功したのは世界的に見てインターステラ社が4社目。その前の3社目がブルー・オリジンなのです。宇宙ビジネスのビッグチャンス、ぜひ米国勢に出し抜かれず頑張ってほしいですね。

打ち上げ失敗のあと、社内の雰囲気は?

トークショー終盤の質問コーナーでは、多くの手が挙がりました。

まずは「MOMO2号機の打ち上げが失敗、炎上した後、会社の雰囲気は悪くならなかったのですか?」という質問。確かにこれは聞きにくいけれど聞いてみたい、成功した今だからこそ聞いてみたい話ですね。

稲川さん:
「まったく犯人捜しはしませんでした。というか、失敗した部分の担当者の1人は僕だったので、犯人探しをしていたら真っ先に御用です。『人』の要素をまったく排除して、物理現象のみに着目して原因を探りました。設計から施工まで、なぜあんな現象が起こったのか、徹底的に調べました。事故があった時に、いったん人の要素を完全に除外し、物理現象のみを追うやり方は、航空事故などでも採用される一般的なやり方です」

他に「北海道の大樹町という小さな街に、どうやって優秀な技術者を集めているのですか?」という質問も出ました。大学時代の知り合いをたどるなど、大変だったそうですが、今では履歴書が送られて来るようになったそうです。

グーグルで「大樹町」と打ち込むと「大樹町 宇宙 なぜ」と入力補助が出てきます。大樹町はもともと1980年代にまちおこしとして宇宙産業の誘致をしながら「宇宙のまちづくり」を進めてきました。東と南の方向が海で大きく開けていて、だだっ広く平たんな地形は日本の中でも希少な宇宙基地に適した土地なんだそうです。インターステラ社以外にもJAXA(宇宙航空研究開発機構)が宇宙科学実験をする拠点を置く今、名実ともに宇宙のまちが実現しています。

最後に、藤野からお願いです。

今回の3号機の開発資金は、大樹町へのふるさと納税や、クラウドファンディングで集めました。稲川さんたちは、たくさんの失敗を重ねながら、とうとう日本の夢とハンバーグを宇宙に届けました。間もなく、MOMO4号機を飛ばすためのクラウドファンディングの募集が「CAMPFIRE」というサイトで始まります。ぜひ参加して、ロケットを飛ばす当事者になってはいかがでしょうか?

また、ぜひ、4号機の時は大樹町まで打ち上げを見に行ってみてください!「青い空にロケット雲を残して上昇していく機体を見るのは感動もの。自然と涙が出てきた」と藤野。関心を寄せることが、一生懸命頑張る稲川さんをはじめとしたインターステラ社のメンバーの励みにもなります。

会場では、稲川さんに大きな拍手がいつまでも続きました。

稲川さん、どうもありがとうございました!これからもみんなで応援しています。

インターステラテクノロジズ 公式サイト

インターステラテクノロジズ フェイスブックページ


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