「映画監督はお金のことは考えるな」はもう古い?これからの映画とお金について内田英治監督と藤野英人が対談。裏側をレオス社員がレポート
こんにちは。ひふみラボ編集部です。
いよいよ今週8月26日(金)、ひふみで協賛する映画『異動辞令は音楽隊!』の劇場公開がスタートです!
公開に先立ち、レオスのYouTubeチャンネル「お金のまなびば!」で本作の脚本も手掛けた内田英治監督と当社代表・藤野英人の対談を公開しました!
今回は、『ミッドナイトスワン』以来内田監督のファンだという株式戦略部の押切が、対談収録現場の裏側をレポートしながら、対談の見どころをご紹介します。
オリジナル脚本のチャレンジ
「なぜ当社で映画に協賛するのだろう?」
初めて『異動辞令は音楽隊!』への協賛の話を聞いた際、率直にそう思いました。
当社代表の藤野が映画へ協賛を決めた背景をよくよく聞いてみると、その理由に納得がいきました。
「実績を積んだ映画監督の方でも、人気マンガや小説を原作とした脚本に比べ、オリジナル脚本の場合の映画は、収益化の予想が難しくなかなか資金が集まらないそうです。レオスはあらゆる分野でチャレンジする方を応援したいという想いがあります。今回も内田監督のチャレンジを応援したいという軸で特別協賛を決めました。」
私は映画業界そのものの仕組みに目を向けたことがなかったので
「実績を積んだ方でもオリジナル作品でヒットするのは大変なの!?映画業界って厳しい…」
と衝撃を受けるとともに、内田監督のチャレンジし続ける姿勢に感銘を受けました。
内田監督のことは、映画『ミッドナイトスワン』でお名前を知り、同作品のそれぞれの登場人物の描写に強く心惹かれ、「素敵な監督さんだな、この方の作品が好きだな」と感じていました。
レオスでそんな内田監督の作品に協賛することとなり、これは是非映画プロジェクトメンバーに加わりたい!!とプロジェクトへの参加を決めました。
「映画監督」に緊張しつつも…
公開日が近づくなか、「お金のまなびば!」で公開する内田監督と代表の藤野との対談収録が行なわれ、撮影現場を見学しました。
撮影前に内田監督と少しお話することができたのですが、
映画監督をされている方との会話は初めてだったので、お話する前は、
長期間に渡り大人数をまとめ上げて1つの映像作品を作る方ってどんな方なのだろう…
すごく圧が強かったりするのではないか…
と喜び半分・不安な気持ち半分でした。
ところが、不安を感じた自分が恥ずかしくなるくらい、実際にお会いした内田監督はとても素敵な方でした。
実は、内田監督はこの収録の前日にプレミア上映への参加のために訪問していたアメリカ・ニューヨークから帰国されたばかりでした。
「疲れが残っています」とおっしゃりながらも飾らない気さくなお人柄でこちらの質問に対しても、優しく答えてくださり、こちらにも問いかけてくださるなど、どんな状況でも誰に対しても不変的な柔らかさを保てる方だなと感銘を受けました。
対談の見どころ
対談では、『異動辞令は音楽隊!』撮影の話から内田監督の映画監督論、映画製作におけるお金の話など話題は多岐に渡りました。
その中で私が印象的だったポイントを4つお伝えします。
1. 映画がもたらす人々への影響
藤野は『異動辞令は音楽隊!』を見て「この映画を通じて心ならずも別の場所で挑戦せざるを得なくなった人たちに向けてエールを送ることにも繋がると思った。」といい、内田監督にこの映画に込めた想いをうかがいました。
教訓を得たり、自分の考えや心境に変化をもたらしたりと映画が与える影響は様々ありますが、実は内田監督自身は作品を見た人に何かを感じてもらいたいと思うようになったのはここ数年のことだそうです。その理由については動画内で語っています。
私自身が観賞した内田監督の作品をその観点で振り返ってみると、どの作品も自分の中のなんとも言い難い曖昧な感情を持て余している人へ、映像という表現を作ってすくい上げる救済のような要素を感じていました。
勝手ながら、これから内田監督の作品を観る度に”内田監督が、映画の持つ力を信じて歩み続けている後ろ姿”が思い浮かびそうです。
2. 映画とお金
藤野はよく、日本人の「お金儲け=悪」だというお金に対する過剰な潔癖主義について話しています。
映画製作の現場においてもそれは同じのようです。
内田監督はアメリカでも短編映画を撮影したことがあるそうで、その際に世界と日本の映画作りでのお金に対する価値観の違いについて感じたそうです。
アメリカの映画作りは、「成功すれば、お金を稼ぐことができてみんなが潤う。そのために良いものを作ろう」という想いが強いそうなのですが、
日本は「良い映画を作ればお金のことはいいじゃないか」という風潮が強いとおっしゃっていました。
私としても日本人の「清く貧しい」金銭感覚に興味があったので、映画界のお金事情はとても興味深く印象に残っています。
対談ではさらに、内田監督に映画とお金の価値観ついてうかがっています。
3. チーム内田の映画作り
今回『異動辞令は音楽隊!』への協賛を決めたきっかけとして、藤野がGAGAさんや(映画への協賛を紹介してくれた)友人に「内田監督もすごいけど内田チームに懸けてください」と言われたことがそのひとつだと明かし、その言葉の意味を内田監督にうかがっています。
内田監督の返答には、映画作りの現場での内田監督のチームに対する想いがこもっていました。
「撮影監督は私の100倍撮影のことを考えているし、美術は私の100倍美術について考えている。成瀬という役柄については演じている阿部寛さんが私の100倍深く考えてくれています。それぞれの役割で私よりも100倍考えてくれる人がチームにいる、それが寄り集まったものがたぶん映画だと思います」
その内田監督のお考えが最初にお会いした時に感じた「柔和さ」や「安心感」という内田監督の印象にも繋がるのではないかと感じました。
4.日本と海外の制作の違い
海外で評価されるコンテンツと日本で評価されるコンテンツは真逆だといいます。
内田監督といえばNetflix作品の『全裸監督』を思い浮かべる方もいらっしゃるかと思います。その脚本開発の際に日米の違いを感じたとのことです。
日本からアメリカのNetflixへ脚本を送るそうなのですが、Netflixからのフィードバックは秀逸で、日本の固定観念では理解できないような内容も含まれていたとのことです。
『全裸監督』も日米の価値観の差はどんなところにあるのか、そんな視点で観てみようと思いました。
対談動画は「お金のまなびば!」にて順次公開予定です。
ぜひご覧ください!
変化が苦手な人に観てほしい!
『異動辞令は音楽隊!』を鑑賞し、私の中では"変われるきっかけ"という言葉が、この作品を表現する上で一番しっくりくると思いました。
映画冒頭の、阿部寛さん演じる成瀬刑事の横暴さも、自分のポリシーを通すための正義の手段であり、周囲に理解をされずともまっすぐに進んでいました。音楽隊への異動後は自分の中に生まれた新たな信念にそってポジティブな気持ちで純粋に前へ進んでいると感じ、自分の心に正直に進むという意味で「成瀬さんは映画を通して一本筋があったな~」という感想を持ちました。
少々話が反れてしまいますが、イギリスの歌手スーザン・ボイルさんがオーディション番組の「Got Talent」に出演された際、年齢を聞かれ「47歳だ」と答えると、若い参加者が多いこともあり、客席から嘲笑されてしまいます。しかし、スーザン・ボイルさんは堂々とこう答えるのです。
「I am 47. And that's just one side of me. (私は47歳よ。年齢なんて私の特徴のひとつでしかないわ。)」
私はこの言葉が好きです。
年齢は自分が持っている要素のひとつでしかなく、挑戦や変化はいつだって自分がしたい時が最適!だと考えているので、熟練刑事であった成瀬刑事が自分から新たな変化を遂げる姿勢に、鑑賞中、心から拍手を送っていました。
この作品は、
「自分に自信がない…」
「チャレンジしたいのに、いつも守りに入ってしまう…」
という方に、「いつでも自分は変われる!出来る!」という自信を取り戻していただける映画だと思います。
ご自身が置かれている環境で新たな一歩を踏みだしたいと思っている方には、是非観て頂きたいです!