グランプリ発表間近!メンターが見た高校生起業家たち
こんにちは、ひふみラボ編集部です。
気が付けば2021年もあと少しとなりました。年(歳?)を重ねるにつれて、時間の流れが早く感じるようになったのは私だけでしょうか。皆さんにとって、2021年度はどんな1年になりましたか?
さて、前回ご紹介した高校生模擬起業グランプリ「リアビズ」について第2回目をお伝えします。
↓前回の記事はこちらから
全チームが11月に商品の販売を終了し、企業活動の締めとして決算報告の作成に移行しました。財務諸表の作成に加え、企業活動の振り返りに突入!高校生はビジネスのリアルを肌で感じている真っ最中です。
彼らにとって2021年は「挑戦の年」となったに違いありません。
今回の記事では、各チームの商品説明に加え、今後の大会の流れについて簡単に説明をしています。商品説明のパートでは、高校生の挑戦を一番近くで応援していたレオスの社会人メンターからコメントをもらいました。
商品の魅力をレオスのメンターに聞いてみた!
早速ですが、社会人メンターより各チームの商品と振り返りについて詳細を見ていきましょう。
私も社会人メンターとして大会に参加しているため、共感できるポイントがいくつもありました。
※なお、記載順はリアビズ公式サイト「一次審査通過チーム」の一覧の記載を参考にさせていただいており、チームに優劣をつけるものではありません。
東京農業大学第一高等学校
パートナー営業部 野口:皆さんはエミューという鳥をご存じですか?ダチョウの次に大きい「飛べない」走り鳥の一種です。飛ぶことの出来ない彼らは砂漠地帯や雪原地などの厳しい環境下で生息しています。苛烈な環境で生き抜くため、優れた回復機能を持っていることで有名です。そのためエミューの脂肪からとれるオイルは古代から傷薬として活用され、現代では保湿液などに利用されています。私がメンターをつとめる「プルウ」では、このエミューオイルを利用した誰でも利用できるフェイスパックを作成し販売しました。肌に直接触れる商品ということで、企画や販促活動で大変な場面が多かったと思いますが、メンバー間でしっかりと話し合って課題を解決していく姿勢に感銘を受けました。残りあと少しですが、微力ながら伴走出来ればと思います!
金光学園高等学校
株式戦略部 大城:岡山県金光学園高等学校の「じーんず」を担当しました。当校は、国産ジーンズ発祥地として有名で、かつ大山康晴名人を輩出した将棋の聖地でもある倉敷市に近いため、両者を掛け合わせ、ジーンズ生地製の将棋型コースターを作成しました。地元の有名被服店や当校OBOGへ積極的に働きかけ、事細かにデザインや原価の調整を行ったり、藤井聡太竜王誕生を祝う会に出席し直接コースターを贈呈したりと、適材適所で周りを巻き込む力を発揮し、製造した150セットは無事完売しました。自力で課題を挙げ一つずつ紐解いていくチームの姿は、メンターという立場でありながら私自身に還元出来る部分が多く、「じーんず」は立派な会社として成立していると感心しました。きっといい結果が待っています、もう少し、頑張りましょう。
東京都立第五商業高等学校
マーケティング部 松永:「多機能メイクブラシ」を販売した都立第五商業高等学校の「美麗(MIRY)」という会社を担当いたしました。多機能メイクブラシとは、アイメイクに必要な4つの機能をひとつにまとめた、コンパクトで持ち運びしやすいブラシのことです。コロナ禍で目元のメイクに力をいれる人が増えていることや、マスクの湿気でメイク直しをする機会が増えたことなどから、この商品の開発に至りました。発売前に同一コンセプトで低価格な競合商品が出た際に、ターゲティングの再検討、商品パッケージを改良するといった臨機応変な経営判断をしていて、見事だと思いました。テレビや雑誌などのメディア露出、SNS、インフルエンサーの活用と巧みな広報戦略で、BASE販売分は完売できました。1月以降、国立駅とふるさと納税で追加販売もあります。まだもう少しありますが、ぜひ最後まで頑張りましょう。
江戸川学園取手高等学校
ダイレクト営業部 佐藤:私が担当する「ユーカレコ」は「観葉植物+タイムカプセル」で「未来へメッセージを届ける」体験ができる商品を販売しました。小・中(であってますか?)学校の卒業時にタイムカプセルを埋めるイベントがありますが、これまで経験したことがなく、憧れをお持ちの方も多いのではないでしょうか?様々な理由でタイムカプセルができなかった方も、観葉植物なら自宅で簡単に体験できるというストーリー性が面白いと思いました。企画・販促についてはメンターとしてアドバイスはするものの、基本はメンバーが模索しながら進めており、様々な課題にぶつかりながら自分たちで解決しようとする姿が頼もしいです。細かくサポートしたいという思いと、自分たちで考えぬいてもらいたいという思い半々ですが、最後まで一緒に頑張りたいと思います!
山形県立庄内総合高等学校
営業本部 友利:私がメンターをつとめた「くりーん あーす どるふぃんず」では、エコバッグや手作りアクセサリといった雑貨を販売しています。チーム名にも表れているとおり、高校生たちは環境への意識が高く、商品に込める想いが企画書からもはっきり伝わりました。地元の皆さまに商品制作やマーケティングにご協力をいただいたり、同じ山形県の加茂水族館ともコラボレーションをしたり、周りの方々を巻き込んでいく行動力に非常に感銘を受けました。打ち合わせはリモートだったのですが、着実に商品の制作から販売まで行なっていく高校生たちの姿を頼もしく思うとともに、直接お話ししながら並走したかったという悔しい気持ちにもなりました。リモートながら引き続きサポートを続けていきます。
愛媛県立北宇和高等学校
マーケティング部 鈴木:私がメンターを務めた愛媛県立北宇和高等学校のチーム「鬼の町工房」は、地元で約400年前から製造されている和紙「泉貨紙」でつくった照明器具「ほんのりしませんか」を販売しています。シャイで口数の少ない皆さんでしたので、当初は心配でしたが、メンターたちの知らぬ間に、販売計画、ホームページ、自社ロゴ、商品撮影などを着実に仕上げていて、寡黙な職人のような仕事ぶりに驚かされました。販売段階では、地元の道の駅で販売してもらったり、学校行事で販売したりと、リアルな販売チャネルを開拓し売上を伸ばしていました。残りあと少しですが、「泉貨紙をもっとたくさんの人たちに身近に感じてほしい」という目的が叶えられるよう応援しています!
北海道札幌国際情報高等学校
経営企画&広報・IR室 古市:皆さんはバナナペーパーをご存じですか?バナナペーパーとはバナナの茎から取った繊維を日本の和紙技術って加工した「紙」のことを指します。バナナペーパーは環境に優しく、SDGsの観点で注目されています。私がメンターを務めた北海道札幌国際情報高等学校「バルネス」では、バナナペーパーを利用したオリジナルカレンダーを販売しました。お客様からいただく12枚の写真を利用した、世界に1つだけの素敵な商品となりました。私もカレンダーを合計5個ほど購入し大切な人にプレゼントしたら、とても喜んで貰えました。メンター期間はとても短く、もっと一緒に頑張りたいという気持ちでいっぱいですが、最後の最後までサポートしたいです。
高知工業高等専門学校
システム部 斎藤:コロナ禍でおうち時間が増えたことにより、”動物を飼いたい”という需要が増えてきています。高知工業高等専門学校「ビースティケージ」は、そんな需要に応えるべく、高専生の技術力を生かし、小動物や爬虫類向けのケージを作製しました。飼育者目線での機能を実装することで、高価格帯である動物用ケージのニッチな市場でも戦える付加価値を備えています。地元高知県産木材を使用したもの、通常の木材を使用したものの2タイプがあり、ペットショップに陳列しても遜色ない仕上がりです。高校生達が日々成長していく姿に目を細めながら、最後まで並走し、結果に関わらず、悔いのない活動としたいです。
安田女子中学高等学校
総合企画本部 仲木:「アカイカンナの社長、広報、経理など役割ってすぐに決まったん?」と聞くと、私立安田女子中学高等学校1年生6名がみな顔を見合わせて笑顔で「はい、すぐに♡」と答えた“場”を見て「このチーム、ええやん!成功する」って感じました。1945年8月6日、焦土と化し75年間草木は生えないと言われた広島。しかし、1か月後の9月爆心地から約800mの所に真っ赤な花をつけたカンナがみつかる。新しい命として芽吹き、人々に生きる勇気を与えた赤いカンナの花。そんな想いを社名に込めた彼女たちの事業は、「全世界から平和記念公園に届いた折り鶴の再生紙でオリジナルデザインのブックカバーを製作販売し、想いの連鎖をつくる」こと。平和への想いに触れながら読書を楽しんで欲しいという素敵な事業。テストや部活の合間を縫いながら日々出てくる課題をみなで乗り越えGOALした彼女たちに乾杯!やっぱり日本の未来は明るい!
江戸川学園取手高等学校
パートナー営業部 三田村:「グルソープ」とは何でしょうか。正体は私がメンターをつとめた「グルック」という会社がつくった「廃棄野菜を用いた宝石石鹸」のことです。廃棄野菜とは、 ぱっと見ただけでは十分販売できそうだけど一般に販売することは難しい……といった野菜です。この野菜を石鹸の着色に利用することでベジタブルロスを減らすことにも貢献でき、きれいな色をした石鹸ができるという魅力たっぷりな商品です。グルックでは製造・販売を進める中でたくさんの議論を重ねていきました。自ら調べ・考え・発言する姿勢はもはや高校生には見えずとても丁寧な仕事ぶりでした。最後にこの場をお借りしてご協力いただいた関係者の皆さまへ御礼申し上げます。ありがとうございました。
決算報告に向けた準備がスタート
冒頭でもお伝えしましたが商品販売は11月末に完了し、高校生は決算報告に向けて奮闘中です。
「リアビズの決算報告に向けた準備って具体的にどんなことをしているの?」と思われた方に、決算報告の内容について簡単に説明させていただきます。
一般的に決算報告とは会社の事業の概況、経営成績(損益)や年度末の財政状態(資産、負債、純資産の残高)を報告する決算報告書を作成する行為を指します。リアビズの決算報告においても、一般的な決算報告と同様に各チームの経営成績を決算報告書で報告します。
高校生は営業成績を示した損益決算書、資産を示した貸借対照表を作成し、事業成績をリアビズの運営に提出します。
・商品はどのくらい売れたのか?
・利益はどのくらいか?
・販管費はどのくらいになったのか?その内訳は?
など定量的な数値をまとめることで、経営成績を客観視し、かつ第三者に説明できる状態にすることが決算報告の目的です。
「30万円の投資を元本にして、どのくらいの利益を生み出すことができたのか?」を運営(金融知力普及協会)に説明するのです。高校生にとって大会の運営は投資家です。投資家に対して経営成績を示すという行為は一般的な事業法人と何ら変わりのない業務であり、とても貴重な経験になりそうですね。
会社の経営と言えば「売上を上げる」ことだけに焦点を当ててしまいがちですが、経営成績を振り返り、株主(投資家)に対して説明責任を負うことも企業の立派な責務です。リアビズの大会を通して、高校生は起業のリアルを実感しているのではないでしょうか。
今年のグランプリは誰が勝ち取るのか?
第2回リアビズのグランプリ発表は2022年1月15日に公表されます。
決算報告の情報、マーケティング施策等のすべての情報を加味してグランプリが決定されます。
グランプリに輝いたチームには、なんと100万円相当のビジネス研修旅行が贈呈されます。内容については公表されていませんが、リアビズ運営が提供する研修旅行であることを踏まえると、ビジネス戦闘力が鍛えられる素晴らしい内容に間違いありません。
今年はどのチームがグランプリに輝くのか、目が離せませんね。
次回の記事を楽しみにしていてくださいね。