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財布を持ち歩かないアナリストが見るキャッシュレスの未来/堅田雄太(前編)

投資信託「ひふみ」のアナリストにビジネスや世の中の流れを語ってもらう連載、「ひふみのアンテナ」。今回は“財布を持ち歩かないアナリスト”こと堅田雄太に、その生活とキャッシュレスの未来について語ってもらいます。

聞き手はマーケティング・広報部の大酒です。

堅田 雄太(かたた ゆうた)
レオス・キャピタルワークス 運用部 アナリスト
2012年、レオス・キャピタルワークスにアルバイトとして入社。2014年、早稲田大学大学院基幹理工学研究科を卒業、新卒で当社に入社。マーケティング・広報部にて顧客分析やホームページ作成に従事。 2018年4月から運用部でアナリストとして企業調査を行なう。

気づいたら、足を運ぶのはキャッシュレス対応店ばかり

――財布を持ち歩かないと聞きましたが、本当なんですか。

さすがにまったく持ち歩かないということはないですが、1年くらい前から持ち歩く機会は徐々に減っています。スマートフォンの機種を変えて、Apple Pay(アップルペイ)を使うようになったのがキャッシュレス化のきっかけです。

すごく便利なんですよ。通勤定期のSuicaをアップルペイに登録していますから、移動に現金もカードも使わない。携帯キャリア系の電子マネーも、クレジットカードも登録しています。会社のある東京駅周辺では、スマホを持ち歩いていれば支払いに困ることはそんなにないですね。スマホをかざせば支払いが終わります。アップルペイでクレジットカードを使えば、暗証番号を入れたりサインしたりしなくていいので、そこも便利ですね。

――最近、財布を持たないという人もちらほら増えてきましたね。堅田さんは新しい技術やサービスを積極的に取り入れるタイプですか。

いち早く新しいものを手に入れるタイプでもないです。マーケティングの世界で言う「アーリーアダプター」と「アーリーマジョリティ」の間という感覚ですね。ちなみにレオスのメンバーになったのは2012年ですが、運用残高が増え始めた頃でした。まだまだ今ほど有名ではなかったですが、それなりに認知され始めたタイミングです。そういう意味でも、アーリーアダプターとアーリーマジョリティの間のタイプと言えますかね。(笑)

――ところで、堅田さんが現金を使うのはどんな瞬間ですか。

会社の近くに「三富」という中華料理店があるんですが、そこはキャッシュレス対応していません。でも、たまに無性に食べたくなる。ホイコーローとチンジャオロースが好きですね。

でも、そうしたお気に入りの店以外は、気づけばキャッシュレス対応している店に出入りするようになりました。スマホでピッと支払っていると、財布を持ち歩いたり、小銭を取り出したり、クレジットカードにしても暗証番号を入力したりって、案外面倒くさい作業だったんだなと思います。現金を使わないと、ATMにも行かなくなります。直近でいつ行ったか覚えていないですね。

――ちなみに、スマホをなくしたらどうするんですか。

どうしようもないけど、少なくとも悪意ある人が拾っても顔認証があるのでスマホで支払いはできません。Suicaは使えますが、履歴が残りますから、悪い人からすればリスクが高い。スマホだと位置情報でどこにあるか分かるので、財布に比べると見つかりやすいですし。

お店が現金を数えるのに費やす時間は?

――海外旅行に行って買い物の支払いをするとき、現金だと戸惑いますよね。日本でキャッシュレスが普及すれば、訪日外国人にとっても便利になりますね。

まさに国がキャッシュレスを普及させる背景の一つですよね。

あと現金って、管理にすごくコストがかかるんですよ。保管するにも移動するにも、警備なんかにコストがかかります。あと、数えるのも大変です。野村総合研究所が小売り流通業と主要サービス業の企業を対象に、現金にまつわる作業についてアンケート調査しているんです。これが面白い。レジの現金残高の確認にどれくらいの時間を費やしているか、聞いているんですが、1店舗1日あたり平均2時間半もかかっているそうです。

もちろん、国全体で見れば、このほかATMの設置や維持管理、現金の警送などなど、さまざまなコストがかかっています。こうしたもろもろの費用は年間1兆円を超えるそうです。日本のキャッシュレス比率は約20%とされています。お隣の韓国は96%、英国やオーストラリアなどは50%を超えている。日本はやはり現金大国なわけですが、そのために余計な作業が生じているのは確かですね。

消費増税がトリガー

――現金大国の日本でキャッシュレスは進むんでしょうか。

政府は、消費増税に合わせて、キャッシュレス決済をするとポイント還元される制度を導入する予定ですから、1つのトリガーにはなりますね。またスマホ決済では、すでに各社がポイント還元を競っています。あとは、単純にキャッシュレスのほうが便利なんで、普及することはあっても後退することは考えにくいですね。

スマホ決済については、店側にも導入メリットがあります。QRコードがあれば読み取り装置を買う必要がない。また、クレジットカード決済よりも手数料率が低いんです。クレジットカードの手数料率は取引額の4~5%ですが、スマホ決済は1%~2%です。この手数料に関しても、現在は普及を優先してゼロにしています。手数料率が高いからという理由でクレジットカード決済の導入を躊躇していた店舗は、スマホ決済を導入するのではないでしょうか。

――クレジットカード会社やスマホ決済会社、システム会社など、キャッシュレス化には、たくさんの企業が関わりますね。調査は大変じゃないですか。

大変ではあるけれど面白いですよ。キャッシュレス関連の調査をして、自分がどんなことに興味を持っているのか分かってきた気がします。そこら辺については、また次回のインタビューで話したいと思います。

後編はこちら↓

◎当コメントは個人の見解であり、個別銘柄の売却・購入等の行為の推奨を目的とするものではありません。また、当社ファンドの組入れ等をお約束するものではありません。

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ひふみラボ note

投資信託「ひふみ」を運用するレオス・キャピタルワークスの公式noteです。ちょっととっつきにくいと思われがちな「投資」のこと、「お金」のこと。本当の楽しさ、おもしろさを伝えたくて、あれこれ研究していきます。金融商品取引法に基づく表示 https://bit.ly/2On4z9V

アナリストが見つけたビジネストレンド ひふみのアンテナ

日々、ビジネスの現場を歩いて取材、分析するのがアナリストの仕事。社内で彼らの雑談に耳を傾けていると、世の中の新しい流れが見えてきます。アナリストたちが独自のアンテナでキャッチしたネタを大いに語ってもらおうという連載です。