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新米女性トレーダーの眠れなかった2週間/佐々木志保(後編)

投資信託「ひふみ」のアナリストに、ビジネスや世の中の流れを語ってもらう連載、「ひふみのアンテナ」。前編に引き続き、株式の売買を執行するトレーダーが語ります。

2020年4月でトレーダー歴が1年になる佐々木志保は、コロナショックに揺れるマーケットにどう対峙したのでしょうか。また後編では休日のリフレッシュ方法についても聞いてみたいと思います。インタビューはマーケティング・広報部の大酒が担当します。

佐々木 志保(ささき しほ)
新卒で2016年に野村證券入社。個人や法人への営業を担当。2018年にレオス・キャピタルワークスへ。マーケティングなどを経験したのち、2019年トレーディング部へ異動。趣味は読書。福岡県出身。

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 前編はこちら↓

バレンタインデーから始まったステルス売却

――2月13日に藤野がトレーディングデスクにやってきて「売ろうと思う」と言ったときはどう思いましたか?

ポカーンという表現がぴったりです。その時は、どうして今売るのかさっぱりわからなかった。マーケットの動きを見ても、売りに傾くような気配はありませんでしたから。そういう意味では、いわば「ステルス」で、こっそりと誰にもバレずに売らないとダメなんです。レオスの動きがマーケットを壊してしまうことにもつながりかねないので。

翌日2月14日のバレンタインデーから、1日あたり数百億円単位の注文をさばくことになりました。東京証券取引所で取引すると、大量に売却していることがわかってしまう。だから、よく使ったのが、機関投資家だけが参加するダークプール(注文を受ける証券会社が投資家同士の注文を付け合わせるマッチング取引)です。参加者の注文は見ることができず、売買が成立したことだけが分かります。プレーヤーが限られるのですが、この時はまだ取引が活発で、買い需要も豊富にありました。だから最初の2、3日での売却ボリュームが最も多いですね。他の投資家より少しだけ動きが早かったことで、なんとか約2,000億円の現金を作ることができました。この時は、少しでも多くの現金を作る上で一日一日が貴重でした。

SSasakiデスク

――1銘柄で数十億円のボリュームの注文をさばくわけですよね。

はい、ちょっとしたミスが大きな損失につながります。ずっと気が張って眠れませんでした。売却執行中にマーケットが急変すると「どうしよう、注文完了できるかな?」と不安が膨らみました。もちろん、私はまだ経験が浅いので、2人の先輩が常に取引を見てくれています。それでも、実際に注文を出すのは自分。何がベストシナリオなのか、懸命に考えました。

裁量が大きいからこそ難しい

――レオスはトレーダーの裁量が大きいですね。

ファンドマネージャーが細かく指示を出す運用会社もあるし、ほぼアルゴリズムで取引する運用会社もあります。それに比べれば、レオスはトレーダーの裁量が大きいですね。だから、指導役の先輩トレーダーによく言われるのは「自分がどう考えてどう取引を執行したのか、お客様にちゃんと説明できないとダメだ」ということです。

――それはとても難しいことに思えます。

難しいです。誰も未来をピタリと予測することはできません。わからない中で執行するわけですから、自分なりに合理的なストーリーをもって執行を進めなければならない。裁量が大きい分、合理的な予測に基づいて判断したことを説明できないとダメだと指導されています。でも、自分なりに考えて取引がうまくいくと、その夜はよく眠れるんですよ(笑)。

外出できない休日は、ドキュメンタリー鑑賞

――気の張る仕事ですが、休日はどうやって息抜きしているんですか?

本屋巡りが好きですね。書店には個性があって、置いている本が違いますよね。自分好みのお店を見つけるとテンションが上がります。実は占いの本が好きです。占いって、怪しい部分もあるけれど、統計的な考え方をしている部分もあり、興味深いです。

あと、株式市場は世の中の鏡なので、トレーダーになってから休みの日も外に出ていろんなことを観察するようになりました。これはちょっと前のことですが、会社の帰りに銀座を歩いていたらすごく人が多くて、飲食店もお客さんが入っていました。それまでのコロナウイルスへの「自粛疲れ」が出ているのかもしれないなと感じていると、やはり感染が東京都内で広がってきました。

SSasaki夜景

――最近は外出自粛要請もあり、家の中で過ごすことも多いですよね。どんなことをしていますか?

家の中では動画をよく観ますね。海外ドラマではなく、ドキュメンタリー。そういえば、まだ新型コロナウイルスが話題になる前に、中国で発生する伝染病に関する番組を観ました。中国の食品マーケットでは、店主が生きたままの動物を丸太の上で裁いて、ひょいっと客に渡します。こうした習慣が未知の伝染病の発生源になっているというドキュメンタリーでした。妙に印象に残っていたのですが、それからしばらくして、新型コロナウイルスの感染が拡大して、ドキュメンタリーのとおりだと驚きました。

――なるほど。友達と話が合わなかったりしませんか?

うーん、どうだろう(笑)。確かに同じくらいの年齢の女性がよく海外ドラマの話をしているけどついていけません。友人といても仕事の話が多いです。仲のいい友人は民間企業の研究員です。彼女は実験の話をして、私はマーケットの話をします。

(インタビューを終えて)
約7,000億円のお金を運用するレオス・キャピタルワークス。その売買執行を担うトレーダーは3人います。株価の変動の大きい最近は、ファンドマネージャーから注文を受けると、株価が変動しないうちに早め早めに取引を進めています。アルゴリズムによる取引に加え、経験と分析、直感による人間の判断を活用することで、年間数億円の売買コスト削減につながっているとのことです(試算値)。女優の木村多江さんのようにクールな眼差しでトレードする佐々木を頼もしく感じました。(マーケティング・広報部 大酒)

※当記事のコメントは、個人の見解であり、市場動向や個別銘柄の将来の結果をお約束するものではありません。ならびに、当社運用ファンドへの組み入れ等をお約束するものではなく、また、金融商品等の売却・購入等の行為の推奨を目的とするものではありません。

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投資信託「ひふみ」を運用するレオス・キャピタルワークスの公式noteです。ちょっととっつきにくいと思われがちな「投資」のこと、「お金」のこと。本当の楽しさ、おもしろさを伝えたくて、あれこれ研究していきます。金融商品取引法に基づく表示等 https://bit.ly/2On4z9V

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日々、ビジネスの現場を歩いて取材、分析するのがアナリストの仕事。社内で彼らの雑談に耳を傾けていると、世の中の新しい流れが見えてきます。アナリストたちが独自のアンテナでキャッチしたネタを大いに語ってもらおうという連載です。