投資をするためには未来に対して信じる力が大事で、なんだかんだ言っても未来が良くなる、もしくは良くなるように僕らは頑張るはずだというのがお腹にないと投資できません。

日本の人がなかなか投資できない理由は何かというと、未来を信じる力がないからだと思います。未来は暗くなると思っていたら投資できないですよね。

それに加えて、未来というのは自分たちでつくるものだと思っている人がいないということもあると思います。未来というのは自分以外の誰か（何か）が決めるものだと思っていて、自分が当事者として加わって良くするものだという概念があまりない。

結果的に言うと、自分も未来には関与しないし、世の中ダメになっていくと思っていたら何もしないでお金を持っていた方が良い、投資をしないでお金を持ち続けるということになってしまいます。

これは非常に根深い問題で、なぜ投資しないのかというのは様々な深い問題がそこに眠っているのだと思います。

例えば教育。日本の教育というのは、ある点では大失敗だと思っています。アンケートをとると、高校3年生になったときに「未来に夢がある、希望がある」という人は2割くらいになってしまいます。日本人に生まれて一番希望に満ちているのは幼稚園の時で、義務教育から高校にいけばいくほど希望が下がっていってしまう。これは教育の失敗と言えるのではないでしょうか。

教育の基本というのが何かといえば、未来というのは自分たちの手でつくりあげるもので、その未来というのは自分たちが明るく前進すれば前進するほどよくなっていくはずだというのを子どもたちに伝えていくのが仕事だと思います。

だからこそ、そういった全部を変えていかないと、投資家や起業家であったり、投資的なものであったりというのは変わりにくいと思っている。

そして、日本の閉塞感の源は政府でも無く借金でも無くて僕ら、僕らの態度だと思っています。僕らの態度が変わらないと日本は絶対に良くならない。

どういうことかというと、例えば私が大嫌いな言葉が、「失われた10年」とか「失われた30年」という言葉。僕はこの言葉が大嫌いです。

なぜかというと、なんで受動態なのか？「失われた」と言っているけど、これは「失った」じゃないの？と思います。

なんで受動態なのかというと、自分以外の誰かのせいだという被害者意識があるからではないでしょうか。でも、これは日本人が失ったわけですから、僕らが“失った”のだということだと思います。だから僕にも責任があるし、皆にも責任がある。それをどうするかというと、より未来志向で明るく変えないといけないよね、と思います。

もし、これで僕らが何もしないとどうなるかというと、もっと悪くなってしまう。投資をしない、努力をしないで、ぼーっとしていた結果、アメリカや中国、あるいは他の東南アジアの国々にどんどん抜かれていっています。でも抜かれるのは当然で、頑張っていないから。頑張るというのは長時間労働という意味ではなくて、新しいことをはじめる、挑戦するということ。今やっていることをやめる、無駄なことはやらない、新しいことをする、そういった勇気がないと、なかなか前に進んでいかないのではないでしょうか。