【北康利連載】若者よ、人生に投資せよ 本多静六伝 #40
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【緑に溢れる現在の大菩薩嶺】
第四章 緑の力で国を支える (10)
東京の水道事業と奥多摩水源林(後編)水源林予定地は手に入った。
明治三六年(一九〇三)、まずは多摩川源流の泉水谷(いずみたに)(山梨県丹波山村)に派出所を設け、はげ山(無立木地)となっている周辺一帯に針葉樹を植栽していく計画を立てた。
このあたりの地質は風化した花崗岩で地味がやせ、海抜一二〇〇メートル以上の厳しい寒冷地でもあるため環境は劣悪だった。それでも静六は果敢に挑戦し、後にこの事業が