【北康利連載】若者よ、人生に投資せよ 本多静六伝 #59
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【静六の好物・天丼】
第五章 人生即努力、即幸福 (5)
天丼会静六は東京山林学校時代、幸手(さって)の叔父(金子茂右衛門)に上野広小路の梅月(ばいげつ)という店で天丼を御馳走になったことがあった。靴一足を三年、靴下一足を四年使っていたあの極貧の時代である。
天丼を食べるのが生まれて初めてだった彼は、
(この世にこれほど美味しいものがあったのか!)
と驚嘆した。
本当はもう一杯食べたかったが、これ以上散財させては申し訳ないと思い遠慮した。
だが思いは残り、