【北康利連載】若者よ、人生に投資せよ 本多静六伝 #68
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最終章 若者にエールを送り続けて (1)
優秀な子や孫たち
静六の人生は順風満帆、向かうところ敵なしの快進撃のように見える。しかし人生に哀しみの翳(かげ)を持たない人間などいない。彼もまたそうであった。
人生で最大の不幸の一つは、わが子を失うことだろう。三男四女をもうけた本多夫妻だったが、次女の美祢子を数え三歳で、次男の武を数え五歳で亡くし、おそらく日露戦争勃発の月に生まれたので勝と名付けられたであろう三男も、一旦は關(せき)イシという人のところに養子に出た