前回はこちら↓ 第39回 谷田部仕法前回の訪問から半年も経っていない6月1日、再び使者として中村玄順が桜町陣屋を訪ねてきた。 上屋敷を全焼させた細川家の事情を知っている金次郎は、さすがにじっくりと話を聞いてやった。 飢饉に大火の影響が加わり藩の借財が増える一方であること、農村の荒廃の根本原因は谷田部と茂木の両方の村民のモラルの低下にあること等、玄順は藩の恥を隠すことなく洗いざらい話した。 「貴藩の窮状はよくわかりました。 ともあれ報徳仕法の基礎は、領主がしっかりと分限を決め