【北康利連載】若者よ、人生に投資せよ 本多静六伝 #71
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最終章 若者にエールを送り続けて (4)
希望を失うことなく
そして迎えた敗戦。八月一一日に七九歳を迎えたばかりであった。
幸いにも渋谷の家は戦火を免れ、伊東の歓光荘も無事であった。
だが戦時中から続いていた食糧不足は一層深刻になり、猛烈なインフレが来襲する。
物資は闇市に行かなければ買えないという混乱の中、それでも静六は博夫婦に頼ることなく伊東で頑張っていた。静六の言葉に〝独立自強〟というのがある。他人の厄介にならず独立生活してゆく人のことである。晩年ま