前回はこちら↓ 第二六回 小谷三志との出会いさすがの金次郎も、領内の対立がここまで深まっては自分の非を認めざるを得ない。陣屋で政務を執ることを一時やめ、自宅に謹慎し、文政一一(一八二八)年五月一六日、勤番辞職願(役儀願書)を小田原藩江戸屋敷に提出した。 長文の辞職願には、金次郎の苦しい胸のうちがつづられていた。 思い返せば桜町仕法は誠に厳しい日々であった。仕法開始直後の苦労をともにした代官の高田才治や主席だった勝俣真作は過労が祟(たた)ってこの世を去っており、横山周平も病
このマンガは、意外と知らないあるモノの始まりや起源について紹介するシリーズです。 身近なものや今では当たり前に存在するものでも、歴史を遡ってみれば誰かが発見したり、発明したものだとわかります。そうした人々の創意工夫や、実現させるまでの困難な出来事を知ることは、もしかすると未来を創造するヒントにつながるかもしれません。 投資信託の会社で働くキャラクターと一緒に、いろんなモノの「はじまり」を探しに行きましょう! 登場人物 第3話 自動ドアのはじまり 音声付きの動画はこちらで
前回はこちら↓ 第二五回 豊田正作の赴任赴任して四年目に入った文政九(一八二六)年、四〇歳になっていた金次郎の周辺に次々に問題が起こり始めた。 入百姓(他領からの移住者)を優遇する金次郎の政策が、元の領民との間に軋轢(あつれき)を生んでいたのだ。そうなると、せっかく入植してくれた人たちも居心地が悪くなる。同年三月四日、入百姓の善太郎が妻子あわせ一〇名で欠落(かけおち)し、懸命の捜索にもかかわらず行方がわからなくなるという事件が起きた。 同三月、野火が発生し、村有林が焼失。犯
このマンガは、意外と知らないあるモノの始まりや起源について紹介するシリーズです。 身近なものや今では当たり前に存在するものでも、歴史を遡ってみれば誰かが発見したり、発明したものだとわかります。そうした人々の創意工夫や、実現させるまでの困難な出来事を知ることは、もしかすると未来を創造するヒントにつながるかもしれません。 投資信託の会社で働くキャラクターと一緒に、いろんなモノの「はじまり」を探しに行きましょう! 登場人物 第2話 炭酸水のはじまり 音声付きの動画はこちら
前回はこちら↓ 第二四回 朽ちかけていた桜町陣屋後年、洪水で再び栢山(かやま)村が荒廃し、人々が困窮した際、金次郎は弟に管理させていた土地を「報徳田地」として寄付している。年貢など諸費用はすべて自分が負担し、困窮する者に小作させ、収穫物はすべてその者たちに与える形にして援助したのだ。 それを機に、栢山村の土地改良も提案している。 洪水の後、早期に排水して田畑を窮状に戻さねばならないが、それだけでなく、田に給水する水を温かくして稲の生育を促進する方法を考案した。具体的には、
前回はこちら↓ 第二三回 一家を廃して万家を興す背水の陣金次郎の思考は現代的だ。口約束では満足しない。再興事業の期間と数値目標などを記した契約書を作成し、小田原藩と宇津家との間で取り交わした。 最初に決めたのは、桜町領の分度(税収合計)だった。 「年間の年貢を一〇〇五俵、畑方金(畑で獲れる作物への税)一二七両と定め、これを越えた収量があった場合には、分度外として報徳金勘定に組み入れることを認めて頂きたい」 ちなみに一〇〇五俵とは過去一〇年間の年貢高の平均であった。こうして具